リンゴ'北斗'の有袋栽培が貯蔵中の陽向面果皮褐変障害の発生と揮発成分に及ぼす影響
貯蔵初期から'北斗'果皮の陽向面側に生ずる黒褐色現象('陽向面やけ'と表記)について有袋果と無袋果の比較を行った.また, 収穫時と貯蔵中の両者の果皮における揮発成分の相違を検索するとともに, 相違する成分およびその関連物質の果皮に及ぼす影響を検討した.1. 有袋果は無袋果より陽向面やけが減少した.2. 有袋果と無袋果の主要揮発成分の同定を行ったところ, 両者に共通して50種類の成分が同定された.3. 無袋果より有袋果で少ない成分に着目し, 両者における含有量の差異を比較したところ, trans-2-hexenalの差が最も大きく, 次いで2-methyl...
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Veröffentlicht in: | Engei Gakkai zasshi 1998/09/15, Vol.67(5), pp.699-707 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 貯蔵初期から'北斗'果皮の陽向面側に生ずる黒褐色現象('陽向面やけ'と表記)について有袋果と無袋果の比較を行った.また, 収穫時と貯蔵中の両者の果皮における揮発成分の相違を検索するとともに, 相違する成分およびその関連物質の果皮に及ぼす影響を検討した.1. 有袋果は無袋果より陽向面やけが減少した.2. 有袋果と無袋果の主要揮発成分の同定を行ったところ, 両者に共通して50種類の成分が同定された.3. 無袋果より有袋果で少ない成分に着目し, 両者における含有量の差異を比較したところ, trans-2-hexenalの差が最も大きく, 次いで2-methyl-butan-1-ol, n-hexanal, n-propanol, trans-3-hexenol, n-hexyl propionate, n-amyl acetateの順に差がみられた.4. 差がみられた成分の市販品を供試し, 果皮に及ぼす影響を検討した結果, trans-2-hexenalとn-hexanalの両C6-アルデヒド処理が最も低濃度で陽向面やけ様症状を発現し, 次いでn-amyl acetate, n-hexyl propionate, 2-methyl-butan-1-olの順に発現した.n-propanol, trans-3-hexenolおよび貯蔵やけの関連物質として知られているfarnesene(異性体含有)処理では陽向面やけ様症状は発生しなかった.5. 検出されたC6-アルデヒドとそのC6-アルコールの果皮に及ぼす影響を検討したところ, trans-2-hexenalはtrans-2-hexenolより, またn-hexanalはn-hexanolより低濃度で陽向面やけ様症状が発現した.6. trans-2-hexenalとn-hexanalのそれぞれの前駆物質, linolenic acidとlinoleic acidの果皮に及ぼす影響を調べた結果, 両者とも陽向面やけ様症状を発現した.この障害はlinoleic acidよりlinolenic acidで早く, しかもひどく現れた.また, 窒素置換状態では両不飽和脂肪酸処理とも空気中より障害が著しく抑制された.7. これらの結果から, '北斗'の有袋果における陽向面やけの減少にlinolenic acidからtrans-2-hexenalへの代謝が主要な要因の一つとして関与している可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0013-7626 1880-358X |
DOI: | 10.2503/jjshs.67.699 |