抗酸化剤添加油の酸化による揮発性分解生成物中の有機酸の変化
各種の脂肪酸および抗酸化剤や過酸化物分解剤を添加した油脂の酸化に伴う揮発性分解生成物中の有機酸の生成割合について検討した。 1) オレイン酸, リノール酸およびα-リノレン酸の各メチルエステルのランシマット法で求めた変敗点 (誘導時間I.T.) は0.36, 0.22, 0.1時間であった。自動酸化時間 (0.5, 1.0および1.5時間) ごとの揮発性分解生成物中のギ酸, プロピオン酸, イソ吉草酸などの有機酸生成量はリノレン酸メチルエステルで最も多く, ついで, リノール酸メチルエステル, オレイン酸メチルエステルの順であった。一方, パルミチン酸とステアリン酸の飽和脂肪酸メチルエステルで...
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Veröffentlicht in: | Nihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi 1998/08/10, Vol.51(4), pp.207-212 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 各種の脂肪酸および抗酸化剤や過酸化物分解剤を添加した油脂の酸化に伴う揮発性分解生成物中の有機酸の生成割合について検討した。 1) オレイン酸, リノール酸およびα-リノレン酸の各メチルエステルのランシマット法で求めた変敗点 (誘導時間I.T.) は0.36, 0.22, 0.1時間であった。自動酸化時間 (0.5, 1.0および1.5時間) ごとの揮発性分解生成物中のギ酸, プロピオン酸, イソ吉草酸などの有機酸生成量はリノレン酸メチルエステルで最も多く, ついで, リノール酸メチルエステル, オレイン酸メチルエステルの順であった。一方, パルミチン酸とステアリン酸の飽和脂肪酸メチルエステルでは450時間自動酸化させてもI.T. は得られず, 有機酸も検出されなかった。 2) 抗酸化剤としてTBHQ, 過酸化物分解剤としてチオジプロピオン酸およびチオ尿素を添加した油脂のI.T. はいずれも延長され, ギ酸, プロピオン酸, イソ吉草酸などの有機酸も各I.T. を示す数分前から生成した。 3) トコフェロールフリー大豆油のI.T. は著しく短縮され, 同時にイソ吉草酸も早い段階から生成した。トコフェロールを添加することによりI.T. は延長され, イソ吉草酸はI.T. までは生成しなかった。 4) 過酸化物価98および224meq/kgの自動酸化油に比べて, 過酸化物を熱分解処理した油脂では, 実験開始10分, 20分後のギ酸とイソ吉草酸の生成はほとんど認められなかった。 以上の結果から, 油脂の酸化により生じた過酸化物がさらに分解し, その二次酸化生成物としてギ酸, プロピオン酸, イソ吉草酸などの有機酸が生成し, それらの有機酸が導電率の上昇を促すことを明らかにした。 |
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ISSN: | 0287-3516 1883-2849 |
DOI: | 10.4327/jsnfs.51.207 |