ダイズ収量成立過程における花器の分化と発育について : 莢数と花蕾数の関係
ダイズ品種タチスズナリを供試し, 1992年から1994年の3カ年にわたって栽植密度3水準で圃場試験を行った.収量構成要素と収量との関係を花房の着生位置に着目して調査・解析した.収量は密植ほど高い傾向にあり, 高温多照の1994年に最も多くなった.収量と有意な相関関係にあったのは莢数のみで, 莢数と一莢粒数, 百粒重, 結実率との間には有意な負の相関がみられた.開花の推移は年次間の相違が大きく, 特に花蕾数の多かった1994年では開花が持続的かつ長期にわたった.花器脱落は莢が伸長を開始する開花始後20~30日に著しいピークを示した.莢数は高次位(2次以上の花房)に比べ低次位(0・1次花房)で多...
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Veröffentlicht in: | Japanese journal of crop science 1998/03/05, Vol.67(1), pp.70-78 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ダイズ品種タチスズナリを供試し, 1992年から1994年の3カ年にわたって栽植密度3水準で圃場試験を行った.収量構成要素と収量との関係を花房の着生位置に着目して調査・解析した.収量は密植ほど高い傾向にあり, 高温多照の1994年に最も多くなった.収量と有意な相関関係にあったのは莢数のみで, 莢数と一莢粒数, 百粒重, 結実率との間には有意な負の相関がみられた.開花の推移は年次間の相違が大きく, 特に花蕾数の多かった1994年では開花が持続的かつ長期にわたった.花器脱落は莢が伸長を開始する開花始後20~30日に著しいピークを示した.莢数は高次位(2次以上の花房)に比べ低次位(0・1次花房)で多く, その程度は密植区で著しかった.密植ほど上位節の莢数構成割合は増加した.莢数は花蕾数と有意な正の相関が認められたが, 結莢率は各区で50%前後となり, 莢数に及ぼす影響は小さかった.結莢率は高次位に比べ低次位で若干高かったが, 花房の着生位置による相違は小さかった.花蕾数は総節数, 一節花蕾数との間に高い正の相関が認められた.また一節花蕾数は主茎上位で多かった.一節花蕾数を一節花房数と一花房花蕾数に分けてみると, これらの間には相互に有意な正の相関がみられた.また, 低次位の花蕾数は一花房花蕾数の, また高次位の花蕾数は一節花房数の影響を大きく受けていた.以上の結果, ダイズの収量成立過程における莢数の変動は, 花器脱落に比べ花蕾数の多少により大きく影響されることが明らかとなった. |
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ISSN: | 0011-1848 1349-0990 |
DOI: | 10.1626/jcs.67.70 |