熱帯泥炭土壌におけるオイルパーム搾油殻焼却灰施用がトウモロコシ (Zea mays L.) の生育と土壌におよぼす影響

マレイシアの木質泥炭土壌においてオイルパーム搾油殻焼却灰 (OPBA) の施用がトウモロコシ (Zea maysL.) の生育および土壌におよぼす影響について調べるために圃場試験を行った.酸性矯正を行わないとNPK肥料や微量要素を施用しても土壌の酸性が強いためにトウモロコシの生育は極めて悪く, 雄穂出穂前に枯死した.OPBAはカリウムに富むアルカリ性の物質でその施用は土壌酸性の矯正には効果的であったが, トウモロコシの出芽および生育に問題があった.すなわち, OPBAのアルカリ性と高濃度のカリウムによるとみられる出芽障害が認められた.また, 栄養成長期のトウモロコシにカルシウム欠乏によるとみら...

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Veröffentlicht in:Nettai nōgyō 1997/12/01, Vol.41(4), pp.241-250
Hauptverfasser: 村山, 重俊, バーカー, ザハリ アブ
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:マレイシアの木質泥炭土壌においてオイルパーム搾油殻焼却灰 (OPBA) の施用がトウモロコシ (Zea maysL.) の生育および土壌におよぼす影響について調べるために圃場試験を行った.酸性矯正を行わないとNPK肥料や微量要素を施用しても土壌の酸性が強いためにトウモロコシの生育は極めて悪く, 雄穂出穂前に枯死した.OPBAはカリウムに富むアルカリ性の物質でその施用は土壌酸性の矯正には効果的であったが, トウモロコシの出芽および生育に問題があった.すなわち, OPBAのアルカリ性と高濃度のカリウムによるとみられる出芽障害が認められた.また, 栄養成長期のトウモロコシにカルシウム欠乏によるとみられる“葉縁切れ込み症状”がOPBA多量施用区においてかなり多く観察され, これは高濃度のカリウムによるカルシウムの吸収抑制のためと考えられた.OPBA施用区の子実収量は苦土石灰 (GML) 施用区に比べてかなり低く, 最良の生育および最高の収量はGML施用区で得られた.OPBAとGMLの混合施用区では生育, 子実収量ともに良好であった. OPBAは水溶性が高く, アルカリ性溶液となり, 泥炭有機物を溶解することが圃場で観察され, また, この高い泥炭溶解能が実験的に確認された.泥炭土壌有機物の分解に対する影響について, 好気的培養法および圃場の土壌表面からの炭酸ガス発生量を測定して検討し, OPBAがGMLに比べて特異的に分解を促進することはなく, 両資材とも施用による土壌のpHの上昇によって分解が促進された.以上のことから, OPBAは単独施用では泥炭土壌の酸性矯正剤として優良な資材とはいえないが, 限られた量を他の石灰資材と一緒に使用することにより, 土壌酸性矯正剤あるいは肥料の代換え資材の一つとして使用できる可能性があると結論された.
ISSN:0021-5260
2185-0259
DOI:10.11248/jsta1957.41.241