ネパール山岳地帯の農耕システムにおけるソバの栽培現状とその重要性

ネパール山岳地帯でのソバの栽培現状ならびに農耕システムにおけるソバの重要性について論じることを目的として現地調査を行った.ネパールのソバ栽培種には普通ソバ (Fagopyrum esculentum) と種実に苦味を有するダッタンソバ (F.tataricurn) がある.ソバ栽培面積に対するソバ両栽培種の作付比率をみると, 明らかに普通ソバが大きい地域や, 逆にダッタンソバが多く作付されている地域もあった.後者は現地の農家がダッタンソバの高標高地帯での高収量性, 収量の安定性に着目した結果と推察された.低地のタライでは普通ソバは冬作物として栽培されており, 中部山岳および山岳地帯では, 両栽...

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Veröffentlicht in:Nettai nōgyō 1997/09/01, Vol.41(3), pp.151-161
Hauptverfasser: 吉田, 実, 根本, 和洋, 氏原, 暉男, 俣野, 敏子, バニヤ, ビマールクマール
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ネパール山岳地帯でのソバの栽培現状ならびに農耕システムにおけるソバの重要性について論じることを目的として現地調査を行った.ネパールのソバ栽培種には普通ソバ (Fagopyrum esculentum) と種実に苦味を有するダッタンソバ (F.tataricurn) がある.ソバ栽培面積に対するソバ両栽培種の作付比率をみると, 明らかに普通ソバが大きい地域や, 逆にダッタンソバが多く作付されている地域もあった.後者は現地の農家がダッタンソバの高標高地帯での高収量性, 収量の安定性に着目した結果と推察された.低地のタライでは普通ソバは冬作物として栽培されており, 中部山岳および山岳地帯では, 両栽培種で秋栽培に加えネパール東部では春栽培が行われていた.山岳地帯におけるソバの栽培時期は普通ソバよりもダッタンソバの方で, 調査地点による差異は大きかった.ソバは概して粗放な栽培がなされており、その管理が比較的簡単なところに利点があると考えられる.また農耕システムでのソバの重要性をみたところ, ソバは生育期間が短いことからキャッチクロップとしての利用, 労働力を分散する作物としての利用, 表土をおおうカバークロップとしての役割, さらに輪作体系の中で, ソバとイネ科作物のローテーションは連作障害や除草の点から重要視されていた.以上のようなソバの作物学的特性が, 現在も山岳地帯でソバ栽培が続けられている理由となっていた.さらに栄養学的面などから, ネパールにおけるソバの重要性は今後ますます高くなるであろうと推察された.
ISSN:0021-5260
2185-0259
DOI:10.11248/jsta1957.41.151