イネ種子根系の発達に伴う2種類の異なるトポロジー指数の経時的変化

根の分枝パターンの評価に用いられるトポロジー指数を求める際に, アルチチュード(a, 最長の外部パス長)と外部パス長の総和(Pe)について, 根がランダムに分枝すると仮定したときの期待値{E(a), E (Pe)}に対するそれぞれの比{a/E(a), Pe/E(Pe)}と, 最も単純な分枝パターンである魚骨型の場合の最大値{Max(a), Max(Pe)}に対するそれぞれの比{a/Max(a), Pe/Max(Pe)}とで表される指数が提唱されている. 本研究では, 経時的にサンプリングした水稲の培養種子根系を材料としてトポロジー解析を行い, 根系発達に伴うそれらの指数の変化を追跡することによ...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of crop science 1996/06/05, Vol.65(2), pp.303-308
Hauptverfasser: 泉, 泰弘, 河野, 恭廣, 山内, 章, 飯嶋, 盛雄
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:根の分枝パターンの評価に用いられるトポロジー指数を求める際に, アルチチュード(a, 最長の外部パス長)と外部パス長の総和(Pe)について, 根がランダムに分枝すると仮定したときの期待値{E(a), E (Pe)}に対するそれぞれの比{a/E(a), Pe/E(Pe)}と, 最も単純な分枝パターンである魚骨型の場合の最大値{Max(a), Max(Pe)}に対するそれぞれの比{a/Max(a), Pe/Max(Pe)}とで表される指数が提唱されている. 本研究では, 経時的にサンプリングした水稲の培養種子根系を材料としてトポロジー解析を行い, 根系発達に伴うそれらの指数の変化を追跡することによって, 実際の分枝パターンの複雑さをどちらがより正しく表現しているかについての比較を行った. a/E(a)やPe/E(Pe)では, 分枝パターンの複雑化による指数の減少を根系サイズの増大による影響が打ち消してしまうために, 実際の複雑さの変化と一致した推移を示さなかった. それに対して, a/Max(a)やPe/Max(Pe)は, 側根の発生数や平均分枝次元(MBO)といった根系形質との間に高い相関を示しており, これらを指標とすることによって実際の分枝パターンの経時的な複雑化の過程や品種間差異を把握することが可能であった. これらのことから, a/Max(a)とPe/Max(Pe)はイネ根系発達に伴う分枝パターンの複雑化を解析する場合に用いる指標としては, a/E(a)やPe/E(Pe)よりも適していると結論した.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.65.303