ニホンナシから分離されたリンゴステムグルービングウイルスとカンキツタターリーフウイルス
ニホンナシから分離され,リンゴステムグルービングウイルス(ASGV)のV-3株と呼ばれていたウイルスに関して,ゲノムの3'末端領域のPCRによる増幅,塩基配列およびコードされるタンパク質のアミノ酸配列の解析を行った結果,V-3株には2種類のカピロウイルス(分離株V3-1とV3-2)が含まれていることが明らかになった。V3-1は,ゲノムの3'末端2661塩基において,ASGVのリンゴ分離株(P-209)と3塩基の置換が認められるのみであった。一方,V3-2は,3'末端1669塩基において,P-209とは89.1%の相同性であるのに対し,ユリから分離されたCTLVの2...
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Veröffentlicht in: | Nippon shokubutsu byōri gakkai 1996/04/25, Vol.62(2), pp.119-124 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | eng ; jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ニホンナシから分離され,リンゴステムグルービングウイルス(ASGV)のV-3株と呼ばれていたウイルスに関して,ゲノムの3'末端領域のPCRによる増幅,塩基配列およびコードされるタンパク質のアミノ酸配列の解析を行った結果,V-3株には2種類のカピロウイルス(分離株V3-1とV3-2)が含まれていることが明らかになった。V3-1は,ゲノムの3'末端2661塩基において,ASGVのリンゴ分離株(P-209)と3塩基の置換が認められるのみであった。一方,V3-2は,3'末端1669塩基において,P-209とは89.1%の相同性であるのに対し,ユリから分離されたCTLVの2分離株,Li-23とLとは,それぞれ95.9%と95.6%の相同性であった。ゲノムがコードするORF2のアミノ酸(313アミノ酸;aa)配列の比較では,V3-2とP-209間で94.8%, V3-2とCTLV (Li-23とL)間で97.4%の相同性が認められ,ORF1の外被タンパク質(CP)領域(237aa)のアミノ酸配列では,V3-2とP-209間で97.5%, V3-2とCTLV (Li-23とL)間で99.2%の相同性であった。またORF1のCP領域の上流側277aa(別のフレームでORF2をコードしている領域)のアミノ酸配列の比較では,V3-1とP-209間で99.3%の相同性であるのに対して,V3-2とP-209間では61.0%で,V3-2とCTLVの2分離株Li-23とL間では,それぞれ85.6%と93.8%の相同性が認められた。以上から,V3-1はASGVのリンゴ分離株とほとんど同一であり,V3-2はユリから分離されたCTLVに類似していることが明らかになった。現在,ASGVとCTLVは,主に分離される原宿主の違いから別種のウイルスとして扱われているが,両ウイルス間でゲノムの塩基配列やコードされるタンパク質のアミノ酸配列に高い相同性が認められること,また生物学的および血清学的にも区別できないことから,CTLVはASGVの系統であると提唱したい。 |
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ISSN: | 0031-9473 1882-0484 |
DOI: | 10.3186/jjphytopath.62.119 |