アジア開発途上国における潅漑開発の現状と課題

本稿ではアジア開発途上国の潅漑部門が1980年代以降発展の新しい局面である潅漑管理局面に移行していること, それに先立つ潅漑建設局面における成功がもたらした国際米価の低迷に対する公共部門の近視眼的過剰反応が潅漑投資を激減させていること, そして新しい局面で必要とされる対応が不十分であり, 結果としてこの地域の潅漑システムが荒廃の危機にさらされていることを明らかにし, 新局面で潅漑部門が必要とする努力, 適切な維持管理と近代化による既存のシステムの効率向上への真剣な努力がなされなければ, 潅漑部門の危機は1973-74年のそれに類する食糧危機を近い将来に再び準備する結果となるであろうことを指摘した。