肥後ギクのin vitro保存

約200年前から熊本地方で育成•保存されて来た肥後ギク品種群をin vitroで保存する方法を開発するために, 肥後ギク培養物の生存および生長に及ぼす温度,光およびその他の培養条件の影響を調査した. 培養温度が培養物の生存に及ぼす影響は顕著で, 培養1年後の生存率の最大値は5°C区で100%, 15°C区で60%, 25°C区で53%および25°-15°-5°C区(25°Cで10日間および15°Cで10日間前培養後, 5°Cで培養) で100%であった. 15°C区および25°C区では培養物の生長が比較的旺盛であり, 培養1年後には老化, 褐変あるいは枯死した培養物が多かったが,5°C区および...

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Veröffentlicht in:Engei Gakkai zasshi 1995, Vol.63(4), pp.863-870
Hauptverfasser: 田代, 洋丞, 宮崎, 貞巳, 一色, 司郎, 竹下, 昭人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:約200年前から熊本地方で育成•保存されて来た肥後ギク品種群をin vitroで保存する方法を開発するために, 肥後ギク培養物の生存および生長に及ぼす温度,光およびその他の培養条件の影響を調査した. 培養温度が培養物の生存に及ぼす影響は顕著で, 培養1年後の生存率の最大値は5°C区で100%, 15°C区で60%, 25°C区で53%および25°-15°-5°C区(25°Cで10日間および15°Cで10日間前培養後, 5°Cで培養) で100%であった. 15°C区および25°C区では培養物の生長が比較的旺盛であり, 培養1年後には老化, 褐変あるいは枯死した培養物が多かったが,5°C区および25°-15°-5°C区では生長が緩慢で, 老化•褐変が遅く, 生存率の最大値は2年後でもそれぞれ100%, 71%であった. 5°C区では暗黒下が照明下より草丈は低かったが, 生存率は高かった. 節切片は頂芽より生存率が高く, 節に着生する展開葉の葉身を切除した方が培養に好都合であった. 12×75mmの試験管に入れた1mlのホルモンフリーMS培地に節切片を植え付け, 5°Cで培養すれば, 2年間は移植あるいは培地の追加をしなくても, 培養物の生存が十分に保証された. 以上の結果から, 簡便で安全な肥後ギクのin vitro保存法を確立することができ, 現在, 21品種を本法で保存中である.
ISSN:0013-7626
1880-358X
DOI:10.2503/jjshs.63.863