馬肉の脂質および脂肪酸組成

輸入場肉の脂質特性を明らかにする目的で, 脂肪交雑の少ない加工用の胸最長筋と脂肪交雑の多い馬刺し用の胸最長筋を用いて, 一般組成, 脂質組成および脂肪酸組成を分析し, 次の結果を得た。  水分含量は, 加工用の72.7%に対し馬刺し肉は64.5%, 粗タンパク質は22.2%に対し18.0%, 組脂肪は2.1%に対し16.3%であった。  本実験で検出された脂質構成成分は, 中性脂質区分(NL)ではトリアシルグリセロール(TG), 遊離脂肪酸(FFA), コレステロール(CS)であり, リン脂質区分(PL)ではフォスファチジルコリン(PC), フォスァチジルエタノールアミン(PE), スフィンゴ...

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Veröffentlicht in:Rakunō kagaku, shokuhin no kenkyū 1993, Vol.42(3), pp.A-89-A-96
Hauptverfasser: 松岡, 昭善, 高橋, 強, 山中, 良忠
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:輸入場肉の脂質特性を明らかにする目的で, 脂肪交雑の少ない加工用の胸最長筋と脂肪交雑の多い馬刺し用の胸最長筋を用いて, 一般組成, 脂質組成および脂肪酸組成を分析し, 次の結果を得た。  水分含量は, 加工用の72.7%に対し馬刺し肉は64.5%, 粗タンパク質は22.2%に対し18.0%, 組脂肪は2.1%に対し16.3%であった。  本実験で検出された脂質構成成分は, 中性脂質区分(NL)ではトリアシルグリセロール(TG), 遊離脂肪酸(FFA), コレステロール(CS)であり, リン脂質区分(PL)ではフォスファチジルコリン(PC), フォスァチジルエタノールアミン(PE), スフィンゴミエリン(SPM) およびリゾフォスファチジルコリン(LPC)であった。  馬刺し用肉と加工用肉では脂質組成に著しい差が認められ, 馬刺し用肉ではNLが約88.8%(TG : 71.6%, FFA : 9.6%, CS: 7.6%), PLが約11.3% (PE : 1.8%, PC : 6.2%, SPM : 2.0%, LPC : 1.3%) を占めたのに対し, 加工用肉ではNLが66.1% (TG : 57.7%, FFA : 2.7%, CS : 5.7%), PLが33.9% (PE : 4.9%, PC : 18.4%, SPM : 6.2%, LPC : 4.4%) を占め, CS, PEおよびLPCを除いた両者の平均値の差は有意であった。  全脂質(TL)の脂肪酸組成は C14 : 0, C16 : 0, C16 : 1, C18 : 0, cis C18 : 1, C18 : 2, C18 : 3が多く含まれていた。馬刺し用肉では cis C18 : 1, C18 : 3, n - 3系列および全不飽和脂肪酸含量が有意に高いのに対して, 加工用肉では C15 : 1, iso C18 : 0, C20 : 4, C22 : 5および全飽和脂肪酸含量が有意に高かった。他の家畜と比較して, C18 : 2と特にC18 : 3含量が高いのが両馬肉の特徴であった。  NLの脂肪酸組成はC14 : 0, C16 : 0, C16 : 1, C18 : 0, cis C18 : 1, C18 : 2およびC18 : 3が多く含まれていた。馬刺し用肉ではC14 : 0, C18 : 0, C18 : 2, n-3およびn - 6系列脂肪酸が有意に高いのに対し, 加工用肉ではC16 : 0およびC16 : 1が有意に高い値を示した。  PL においては, C16 : 0, iso C18 : 0, C18 : 0, cis C18 : 1, C18 : 2, C20 : 4および不飽和脂肪酸が多く含まれていた。馬刺し用肉ではcis C18 : 1が有意に高いのに対し, 加工用肉ではC20 : 3, C20 : 4, C22 : 5, C22 : 6およびn - 3系列の脂肪酸が有意に高い値を示した。  PLはNLと比較して, n - 6系列の脂肪酸含量が著しく高かった。
ISSN:0385-0218
2189-6941
DOI:10.11465/milkscience.42.A-89