水稲の生殖生長期に与えた15Nの穂上分布と粒内分布
多数の穎果から構成される水稲の穂の登熟過程を解明するために, 水耕法を用いて生殖生長各時期に15N標識の硫安を与え, 完熟期における15Nの穂上分布と粒内分布を調べた. 出穂期前に与えた15Nは全ての穎果に均等に分布したが, 出穂期から乳熟期に与えた15Nは穂の上部に位置する発育の早い穎果に, 一方登熟後期に与えた15Nは穂の下部に位置する発育の遅い穎果に, 主として移行した. すなわち活発に窒素集積を行っている穎果の位置は, 登熟の進行につれて穂の上部から下部へと順次移動した. 籾殻への15Nの活発な取り込みは乳熟期まで続いた. 胚は胚乳に比べると登熟後期における15N取り込み活性の低下が早...
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Veröffentlicht in: | Japanese journal of crop science 1993/12/05, Vol.62(4), pp.577-584 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | eng ; jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 多数の穎果から構成される水稲の穂の登熟過程を解明するために, 水耕法を用いて生殖生長各時期に15N標識の硫安を与え, 完熟期における15Nの穂上分布と粒内分布を調べた. 出穂期前に与えた15Nは全ての穎果に均等に分布したが, 出穂期から乳熟期に与えた15Nは穂の上部に位置する発育の早い穎果に, 一方登熟後期に与えた15Nは穂の下部に位置する発育の遅い穎果に, 主として移行した. すなわち活発に窒素集積を行っている穎果の位置は, 登熟の進行につれて穂の上部から下部へと順次移動した. 籾殻への15Nの活発な取り込みは乳熟期まで続いた. 胚は胚乳に比べると登熟後期における15N取り込み活性の低下が早く, 胚の形成は胚乳に先行することを示した. 胚乳の内層部は外層部より15Nの取り込み活性が早く低下することから, 胚乳でのタンパク質の蓄積は中心部から始まり, 順次周辺部へ及ぶものと考えられた. 以上の結果に基づく考察から, 水稲の登熟向上にはソースシンク比の増大だけでは不十分であり, 弱勢果が物質集積を続けている登熟後期まで, 葉や根の生理活性を高く維持することが非常に重要であると結論された. |
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ISSN: | 0011-1848 1349-0990 |
DOI: | 10.1626/jcs.62.577 |