Steinrnerma carpocapsae感染態幼虫における低温保存後の感染性と宿主昆虫体侵入時の性比

昆虫病原性線虫Steinernema carpocpsae感染態幼虫 (IJs) のニクテイションは、宿主昆虫への感染と平行して生起するものと想定し、線虫の感染性はニクテイション率で推定できることを確認するため、ハチミツガ幼虫死体から出現したIJsを8℃に、0、2、4、6、8週間置いた後、24時間後バーク堆肥上でのニクテイションとハチミツガ感染性を検討した。対照にはニクテイションと同時間 (24hr, 25℃) 水中に静置したIJsを用いた。感染性試験には線虫との接触を24時間とした。さらに2日おいた後、昆虫死体を解剖し、侵入率ならびに侵入幼虫の性比 (雄の比率) を調査した。各保存時間後のニ...

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Veröffentlicht in:Nihon Senchu Gakkaishi 1994/12/22, Vol.24(2), pp.60-68
Hauptverfasser: 石橋, 信義, 王, 小冬, 近藤, 栄造
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:昆虫病原性線虫Steinernema carpocpsae感染態幼虫 (IJs) のニクテイションは、宿主昆虫への感染と平行して生起するものと想定し、線虫の感染性はニクテイション率で推定できることを確認するため、ハチミツガ幼虫死体から出現したIJsを8℃に、0、2、4、6、8週間置いた後、24時間後バーク堆肥上でのニクテイションとハチミツガ感染性を検討した。対照にはニクテイションと同時間 (24hr, 25℃) 水中に静置したIJsを用いた。感染性試験には線虫との接触を24時間とした。さらに2日おいた後、昆虫死体を解剖し、侵入率ならびに侵入幼虫の性比 (雄の比率) を調査した。各保存時間後のニクテイション率は、昆虫糞存在下で13.2、17.7、33.1、38.8、58.2%、無糞の場合は、3.2、8.4、14.8、10.5、13-2%といずれも、保存時間の延長とともに上昇する傾向を示した。侵入率 (ペトリ皿濾紙試験) も同様に、32.6、45.1、33.2、44。3、58.2%と上昇した。水中に静置したIJsでも、11.4、29.1、21.0、23.1、51.6%と保存時間の延長とともに上昇した。ニクテイティングのIJsを、バーク堆肥円筒 (5cm-h) の底面に接種した場合の侵入率は、実験期間を平均して9.6%と低かったが、上述と同様、保存時間とともに上昇する傾向が見られた。本実験において得られたニクテイション率と侵入率にはr=0.720の正の相関があった。昆虫死体から出現後、個体群の一部分しか感染性を示さず、全体として感染期間の延長を計ることは、種の維持戦略と考察する。 24時間以内に侵入した感染態幼虫の性比は、バーク堆肥上でニクテイションしているものが55.4%、静置水からとりだしたIJsは37.2%であった。バーク堆肥円筒試験では侵入率が低かったにもかかわらず、実験期間平均で69.5%、低温保存6、8週間後は約80%と雄が圧倒的に多くなった。これは繁殖成功を高めようとする雄成虫の戦略と考察する。
ISSN:0919-6765
1882-3408
DOI:10.3725/jjn1993.24.2_60