タルク注入による実験的脳血管攣縮の犬モデルにおける収縮脳底動脈の経時的形態学的変化
慢性脳血管攣縮の発生において, 血管外血液に対する異物反応が役割を担っている可能性を明らかにするために, 非生物学的異物としてタルク(結晶化含水珪酸マグネシウム)を犬の大槽内に注入し, 病理学的変化を観察した. 脳血管撮影の結果, いわゆる早期相の変化が出現することなく大槽内タルク注入により, 脳底動脈の遅発性および持続性の収縮が誘発された. 病理学的には, クモ膜下腔の脳底動脈周囲の中等度の細胞浸潤は, タルク注入後2日目から出現した脳血管収縮と時期を同じくして認められた. 攣縮脳底動脈壁では, 大槽内タルク注入により, すでに2日目から平滑筋細胞の壊死や内膜下増生などの顕著な収縮性変化およ...
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Veröffentlicht in: | Journal of Veterinary Medical Science 1994/06/15, Vol.56(3), pp.535-540 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | eng ; jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 慢性脳血管攣縮の発生において, 血管外血液に対する異物反応が役割を担っている可能性を明らかにするために, 非生物学的異物としてタルク(結晶化含水珪酸マグネシウム)を犬の大槽内に注入し, 病理学的変化を観察した. 脳血管撮影の結果, いわゆる早期相の変化が出現することなく大槽内タルク注入により, 脳底動脈の遅発性および持続性の収縮が誘発された. 病理学的には, クモ膜下腔の脳底動脈周囲の中等度の細胞浸潤は, タルク注入後2日目から出現した脳血管収縮と時期を同じくして認められた. 攣縮脳底動脈壁では, 大槽内タルク注入により, すでに2日目から平滑筋細胞の壊死や内膜下増生などの顕著な収縮性変化および変性が誘発された. また, その変化は, 注入後の時間経過と共に顕著となった. さらに, これらの病理学的変化は, 脳血管攣縮に陥った人の剖検例の攣縮血管壁の形態学的変化に極めて類似していたが, 実験的自家血液誘発モデルの病理学的変化より顕著であった. 本研究では, 血管外に漏出した血液の存在が無くても, タルクに対する異物反応単独で慢性脳血管攣縮を誘発し得ることを明らかにした. このことから, クモ膜下出血において血管外自家血液に対して起こり得る炎症反応が, 慢性脳血管攣縮を引き起こしていると考えられる. |
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ISSN: | 0916-7250 1347-7439 |
DOI: | 10.1292/jvms.56.535 |