長期間畑転換した復元田の水稲に対する窒素施用法

肥沃度中程度の壌土の湿田で,麦-大豆を8年間栽培した後,再び水田に戻した復元田において,水稲の安定栽培法を明らかにするため,耐倒伏性の異なる初星とコシヒカリを供試して,特に窒素施用法について検討した。その結果は以下のとおりであった。1. 復元田は復元時には酸化的な土層が連作田より厚かったが,3作終了時ではグライ層の出現位置が連作田とほぼ同じになった。2. 水稲の窒素吸収量は,復元1年目では生育初期から連作田より多くなり,幼穂形成期以降は急激に増加した。その増加割合は復元1年目が顕著に大きく,復元2,3年目と徐々に小さくなるが,上記の傾向は依然として認められた。3. 復元田における無窒素栽培では...

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Veröffentlicht in:千葉県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Chiba-Ken Agricultural Experiment Station 1993-03 (34), p.1-12
Hauptverfasser: 駒塚, 富男, 和田, 潔志, 太田, 恒男, 深山, 政治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:肥沃度中程度の壌土の湿田で,麦-大豆を8年間栽培した後,再び水田に戻した復元田において,水稲の安定栽培法を明らかにするため,耐倒伏性の異なる初星とコシヒカリを供試して,特に窒素施用法について検討した。その結果は以下のとおりであった。1. 復元田は復元時には酸化的な土層が連作田より厚かったが,3作終了時ではグライ層の出現位置が連作田とほぼ同じになった。2. 水稲の窒素吸収量は,復元1年目では生育初期から連作田より多くなり,幼穂形成期以降は急激に増加した。その増加割合は復元1年目が顕著に大きく,復元2,3年目と徐々に小さくなるが,上記の傾向は依然として認められた。3. 復元田における無窒素栽培では穂数,一穂籾数が増加するが,成熟期の生葉数および生葉の窒素含有率が高く維持され,登熟歩合が低下しないため,耐倒伏性強の初星では連作田より増収した。しかし,稈長が伸びた。4. 復元2,3年目の穂肥の施用は基肥窒素量を減らした場合,穂数の減少を抑えるために有効であるが,連作田と同時期の施用は稈を伸長させた。5. 早期中干しは窒素吸収量を制御し,穂数を抑えて,倒伏軽減に高い効果を示した。6. 復元田では,品種や復元後の年数に対応して,施肥窒素の減量や水管理を変える必要があった。7. 長期間畑転換した復元田は3年後でも窒素施用量を減らす必要があった。特に耐倒伏性の弱いコシヒカリでは1年目の導入を控え,2年目からは早期中干しを組み入れた栽培が有効であった。
ISSN:0577-6880