血清型3型ロタウイルスによる幼駒下痢症の疫学的およびウイルス学的研究
軽種馬牧場の3地区の育成場で, 1987年3月から7月にかけて集団発生した幼駒下痢症についてロタウイルスとの関係を検討した. 第一地区では下痢の発生率が高いのにウイルス分離率が低く, ウイルス陰性馬にも体温の上昇がみられ, さらに発症馬の日齢が生後間もないことなどから, 本症発生にロタウイルス以外の誘因も関与したものと考えられた. 第2, 第3地区では, ウイルス分離率が高く, しかも本症発生のピークが6~7月に集中したことから, ロタウイルスを主因とする下痢症と認められた. この両地区では発症子馬の平均日齢が63~65日齢と比較的一定した日齢でみられ, この時期の子馬におけるロタウイルスに対...
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Veröffentlicht in: | Japanese journal of veterinary science 1990/10/15, Vol.52(5), pp.1049-1056 |
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Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 軽種馬牧場の3地区の育成場で, 1987年3月から7月にかけて集団発生した幼駒下痢症についてロタウイルスとの関係を検討した. 第一地区では下痢の発生率が高いのにウイルス分離率が低く, ウイルス陰性馬にも体温の上昇がみられ, さらに発症馬の日齢が生後間もないことなどから, 本症発生にロタウイルス以外の誘因も関与したものと考えられた. 第2, 第3地区では, ウイルス分離率が高く, しかも本症発生のピークが6~7月に集中したことから, ロタウイルスを主因とする下痢症と認められた. この両地区では発症子馬の平均日齢が63~65日齢と比較的一定した日齢でみられ, この時期の子馬におけるロタウイルスに対する母子免疫の低下と本症発現との関係が推察された. ウイルスRNAの電気泳動像では, 分離51株中49株が同一の泳動像であったが, 第一地区での分離ウイルス2株のみが異なる泳動像を示した. この主流を占めた49株のうち各地区を代表する3株のウイルスは, 既知の1~6型抗血清との交差中和試験で3型と同定されたが, これまでの3型馬ロタウイルスとは低い交差反応しか示さず, 同一血清型の馬ロタウイルスの間にも抗原的多様性のあることが示唆された. |
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ISSN: | 0021-5295 1881-1442 |
DOI: | 10.1292/jvms1939.52.1049 |