メコンデルタにおける浮稲および雑草イネの脱粒性について

ヴィエトナム・メコンデルタの浮稲地帯では, 最近, 雑草イネの増加が問題化するとともに, 「浮稲の脱粒性が強くなった」といわれている.先年, 現地において出穂期に観察・調査を行ったところ, 雑草イネと言われるものは野生イネ, 野生イネと浮稲の雑種後代と思われるイネ, および逸出雑草と思われるイネなどで圃場によってはかなり高頻度の混入が認められた.それらのうち, 外部形態が浮稲に類似した雑草イネ数系統について, 1987および1988年に脱粒性程度や離層の崩壊性, および出穂まで日数や節間伸長性などを調査し, 浮稲と比較・検討を行った.結果の概要はっぎの通りであった. 1.浮稲に比較すると, 雑...

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Veröffentlicht in:Nettai nōgyō 1990/06/01, Vol.34(2), pp.61-67
Hauptverfasser: 井之上, 準, 陳, 日斗
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ヴィエトナム・メコンデルタの浮稲地帯では, 最近, 雑草イネの増加が問題化するとともに, 「浮稲の脱粒性が強くなった」といわれている.先年, 現地において出穂期に観察・調査を行ったところ, 雑草イネと言われるものは野生イネ, 野生イネと浮稲の雑種後代と思われるイネ, および逸出雑草と思われるイネなどで圃場によってはかなり高頻度の混入が認められた.それらのうち, 外部形態が浮稲に類似した雑草イネ数系統について, 1987および1988年に脱粒性程度や離層の崩壊性, および出穂まで日数や節間伸長性などを調査し, 浮稲と比較・検討を行った.結果の概要はっぎの通りであった. 1.浮稲に比較すると, 雑草イネでは出穂まで日数はほぼ同じかやや短く, 出穂から完熟までの期間は約1週間ほど短く, 完熟期における脱粒性がかなり強かった.ところが地上部の外部形態および節間伸長性は両者は酷似していて, 出穂期までの間に雑草イネを見分けて除草することは困難と思われた. 2.浮稲, 雑草イネともに小枝梗先端突出部にある離層は籾が完熟するまでの間にほぼ完全に崩壊したが, 離層の崩壊が始まる時期および完全に崩壊する時期は雑草イネで約1週間ほど早く, 離層崩壊した後に残る『籾と小枝梗を連結している部分-supporting zone』の太さは雑草イネでかなり細かった. 3.以上の結果から, 現地において浮稲の脱粒性が年々強くなるように感じられている主な原因は, 脱粒性の強い雑草イネの混入割合が増加して来ているためではないかと推察された.
ISSN:0021-5260
2185-0259
DOI:10.11248/jsta1957.34.61