ウシ卵管上皮細胞の分離と単層培養

ウシ32頭から採取した卵管上皮細胞の培養を実施した. 卵管は卵胞期と黄体期および膨大部と峡部に分けて, 酵素処理によりそれぞれの部位から上皮細胞を分離した. 培養液は, Dulbeccoの修正Eagle培地とHam F12 (1:1)混合液に10%子ウシ血清を加えて使用した. 酵素処理後の細胞は, 単独の細胞と細胞塊から構成された. 単独の細胞は線毛を有するものと有しないものに分類され, 線毛を有しない細胞には分泌顆粒が認められた. 細胞塊には, 線毛細胞と分泌細胞が認められた. 培養12~24時間後には細胞塊がプラスチックシャーレに付着し, 2日目には単独の線毛細胞にも付着がみられた. 4日...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of veterinary science 1989/12/15, Vol.51(6), pp.1201-1208
Hauptverfasser: 菱沼, 貢, 高橋, 芳幸, 金川, 弘司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ウシ32頭から採取した卵管上皮細胞の培養を実施した. 卵管は卵胞期と黄体期および膨大部と峡部に分けて, 酵素処理によりそれぞれの部位から上皮細胞を分離した. 培養液は, Dulbeccoの修正Eagle培地とHam F12 (1:1)混合液に10%子ウシ血清を加えて使用した. 酵素処理後の細胞は, 単独の細胞と細胞塊から構成された. 単独の細胞は線毛を有するものと有しないものに分類され, 線毛を有しない細胞には分泌顆粒が認められた. 細胞塊には, 線毛細胞と分泌細胞が認められた. 培養12~24時間後には細胞塊がプラスチックシャーレに付着し, 2日目には単独の線毛細胞にも付着がみられた. 4日目には上皮細胞がシャーレ一面に単層を形成した. 単層を形成した細胞には線毛細胞と分泌細胞が認められたが. 分泌顆粒の数は減少していた. そのまま培養を継続した場合には, 5日目から線毛の運動性が低下し, 9日目にはほとんど認められなくなった. 培養3日目に継代を行った場合でもその後2日間しか線毛運動はみられなかった. シャーレに付着せず培養液中に浮遊している細胞塊は, 培養後2日目から球状を示した. 10-5あるいは10-9Mのestradiol-17βを含む培養液で細胞を培養した場合でも, 線毛運動の消長に変化はみられなかった. 培養細胞の発育については, 卵胞期と黄体期および膨大部と峡部との間に差は認められなかった.
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.51.1201