コレステロール代謝における含硫アミノ酸の重要性

「1. はじめに」コレステロール(Chol)代謝は食物中のさまざまな成分の影響を受ける. 脂質や食物繊維を含めた炭水化物などに加え, タンパク質やアミノ酸もChol代謝に影響を及ぼすことが知られている. とくに, 植物性タンパク質の摂取は動物性タンパク質に比べて血漿Chol濃度を上昇させにくいことの原因については多数の研究者の関心を集めてきた1)-5). それは従来のタンパク質栄養の観点からでは簡単に説明しえない興味深い現象であったからと思われる. 一方, 高血圧や脳卒中の予防にはむしろ動物性タンパク質のほうが効果的であることが報告されており, その原因として動物性タンパク質は含硫アミノ酸を多...

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Veröffentlicht in:Nihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi 1989/10/10, Vol.42(5), pp.353-363
1. Verfasser: 杉山, 公男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」コレステロール(Chol)代謝は食物中のさまざまな成分の影響を受ける. 脂質や食物繊維を含めた炭水化物などに加え, タンパク質やアミノ酸もChol代謝に影響を及ぼすことが知られている. とくに, 植物性タンパク質の摂取は動物性タンパク質に比べて血漿Chol濃度を上昇させにくいことの原因については多数の研究者の関心を集めてきた1)-5). それは従来のタンパク質栄養の観点からでは簡単に説明しえない興味深い現象であったからと思われる. 一方, 高血圧や脳卒中の予防にはむしろ動物性タンパク質のほうが効果的であることが報告されており, その原因として動物性タンパク質は含硫アミノ酸を多く含んでおり, 中枢性の降圧作用を有するTauが体内でより多量に生成するためであると考えられている6). TauはGlyとならんで胆汁酸の抱合基質になることから, 含硫アミノ酸を多く含むタンパク質の摂取は胆汁酸代謝を促進し, ひいては血漿Chol濃度を低下させることが容易に想像されるものの, たとえばよく用いられるカゼインと分離大豆タンパク質(SPI)を比較した場合にこの考え方は当てはまらない.
ISSN:0287-3516
1883-2849
DOI:10.4327/jsnfs.42.353