絹フィブロインのリン酸溶液を紡糸原液とする再生絹糸

実用性のある繊維を得ることを目的として, リン酸を紡糸原液溶媒とする再生絹糸について研究した。フィブロイシを正リン酸 (H3PO4) に溶解した紡糸原液の粘度変化から溶解による加水分解の程度を推定し, 凝固浴の組成, 紡糸条件ならびに後延伸条件などと再生絹糸の性状との関係について検討すると共に, 赤外吸収スペクトルとX線回折によって繊維の高次構造特性を調べた。紡糸原液の粘度変化から, フィブロインはリン酸によって加水分解することが分かり, 溶解後はできるだけ速やかに紡糸する必要があることを認めた。N, N-ジメチルホルムアミド (DMF) を紡糸原液に添加することにより, 紡糸時の延伸倍率を高...

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Veröffentlicht in:Nihon sanshigaku zasshi 1989/04/27, Vol.58(2), pp.87-95
Hauptverfasser: 石坂, 弘子, 渡辺, 陽一, 石田, 京子, 福本, 修
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:実用性のある繊維を得ることを目的として, リン酸を紡糸原液溶媒とする再生絹糸について研究した。フィブロイシを正リン酸 (H3PO4) に溶解した紡糸原液の粘度変化から溶解による加水分解の程度を推定し, 凝固浴の組成, 紡糸条件ならびに後延伸条件などと再生絹糸の性状との関係について検討すると共に, 赤外吸収スペクトルとX線回折によって繊維の高次構造特性を調べた。紡糸原液の粘度変化から, フィブロインはリン酸によって加水分解することが分かり, 溶解後はできるだけ速やかに紡糸する必要があることを認めた。N, N-ジメチルホルムアミド (DMF) を紡糸原液に添加することにより, 紡糸時の延伸倍率を高めることができ, 可紡性や繊維性能を向上させることができた。延伸糸を90%エタノールで処理し, それをさらに延伸すると繊維性能をほぼ実用的なレベルにまで改善できた。未延伸糸はランダムコイル構造と考えられるのに対して, メタノール処理した後延伸した繊維は, β構造に転移したことが示唆された。
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.58.87