牛における早期妊娠因子 (Early Pregnancy Factor) の検出とその臨床応用

早期妊娠因子 (Early Pregnancy Factor;EPF) は, MoRToNらによって受精後24~48時間の母体の血清中に検出され, ロゼット抑制試験において抗リンパ球血清 (Antilymphocyte Serum;ALS) のリンパ球抑制作用を増強することが報告された.以来, 多くの動物種に検出され牛においても報告されているが, 詳細な報告はみられず, また臨床的応用はほとんど行われていない.著者らは, 第一に, 人工授精15日目の牛6頭と対照の非妊娠牛6頭についてロゼット抑制力価 (Rosette Inhibition Titer;RIT) の反復測定を行い, 妊娠牛と非妊...

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Veröffentlicht in:Nippon Juishikai zasshi 1990/05/20, Vol.43(5), pp.325-329
Hauptverfasser: 清水, 恭子, 後藤, 太一, 高橋, 壽太郎, 安田, 泰久
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:早期妊娠因子 (Early Pregnancy Factor;EPF) は, MoRToNらによって受精後24~48時間の母体の血清中に検出され, ロゼット抑制試験において抗リンパ球血清 (Antilymphocyte Serum;ALS) のリンパ球抑制作用を増強することが報告された.以来, 多くの動物種に検出され牛においても報告されているが, 詳細な報告はみられず, また臨床的応用はほとんど行われていない.著者らは, 第一に, 人工授精15日目の牛6頭と対照の非妊娠牛6頭についてロゼット抑制力価 (Rosette Inhibition Titer;RIT) の反復測定を行い, 妊娠牛と非妊娠牛間のRIT値について分析を行った。その結果, 妊娠牛と非妊娠牛でRIT値に有意な差が認あられた。次に臨床的応用として人工授精後2日から38日目までの妊娠牛のEPF活性の動態を調べたところ, 人工授精2日目からEPF活性が検出され, 従来の妊娠診断法の適用できる妊娠38日目までその活性が持続した.さらに, 受精卵移植牛におけるEPF活性の推移を検討した.すなわち, 2頭では移植後14日までEPFの活性が認められず, 臨床診断により非妊娠と判定された.ほかの2頭は移植後28日までEPFの活性が持続し, 臨床診断により妊娠が確認された.また, ほかの1頭は移植後15日までEPF活性を示したが, その後EPF活性は消失し早期の胚死亡が示唆された. 以上の成績から, EPFにより妊娠診断が可能であること, ならびにEPFが生存胚のモニターとして有効であることが指摘された.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.43.325