アルファルファの品種および細胞質雄性不稔系統にみられたミトコンドリアDNAの変異
ミトコンドリアDNA(mtDNA)は,雄性不稔性,病害抵抗性,除草剤耐性等農業上重要な形質に関与しており,作物の進化や系統発生を推定する上での基準となるために,最近,多くの作物で制限酵素を用いたmtDNAの切断パターンの解析が盛んに行われている。しかしアルファルファでは,mtDNAの変異の程度や雄性不稔細胞質と正常細胞質の差異を示した報告はない。本研究は,由来の異なるアルファルファ10品種および細胞質雄性不稔(CMS)系統を材料にして,mtDNAの制限酵素切断パターンの比較を行った。新鮮な葉部および茎部よりmtDNAを抽出し,制限酵素Xhol, EcoRIおよびHindIIIによる切断パターン...
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Veröffentlicht in: | Nippon Sōchi Gakkaishi 1988/10/31, Vol.34(3), pp.149-156 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | eng ; jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ミトコンドリアDNA(mtDNA)は,雄性不稔性,病害抵抗性,除草剤耐性等農業上重要な形質に関与しており,作物の進化や系統発生を推定する上での基準となるために,最近,多くの作物で制限酵素を用いたmtDNAの切断パターンの解析が盛んに行われている。しかしアルファルファでは,mtDNAの変異の程度や雄性不稔細胞質と正常細胞質の差異を示した報告はない。本研究は,由来の異なるアルファルファ10品種および細胞質雄性不稔(CMS)系統を材料にして,mtDNAの制限酵素切断パターンの比較を行った。新鮮な葉部および茎部よりmtDNAを抽出し,制限酵素Xhol, EcoRIおよびHindIIIによる切断パターンを比較した。その結果,各制限酵素による切断パターンに品種間差異が認められた。供試材料の切断パターンに基づくクラスター分析の結果,Medicago falcataのみに由来する品種'Anik'は,他品種との類縁関係が特に小さく,M. sativaとM. falcataの両方に由来する品種'Ladak','Grimm',および'Lahontan'は,互いに類縁関係が大きかった。比較的高いレベルでクラスターを形成した'Cody','Sirsa Type9'および'Arizona Common'は,M. sativaのみに由来する品種であった。CMS系統は特異的な切断パターンを示し,供試した品種とは類縁関係が小さかった。制限酵素処理しない'Rambler'の泳動パターンに,2本の低分子量のDNAのバンドが観察された。以上の結果により,アルファルファのmtDNAは,品種間に差異があり,その程度は,品種の母材に影響されていることが明らかとなった。また,今回供試したCMS細胞質の起源を明らかにするためには,さらに広範な材料との比較が必要と考えられた。 |
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ISSN: | 0447-5933 2188-6555 |
DOI: | 10.14941/grass.34.149 |