食用カンナ (Canna edulis Ker.) の乾物および地下部生産特性
食用カンナは, 西ドイツ諸島, 南米に起源し, 現在では熱帯アジア, 太平洋諸島まで広く分布している.その多くの栽培形態は, 庭先作物 (Garden crop) として利用されているにすぎない.本研究では, 日本とタイで食用カンナの備えた乾物および地下部生産特性を他作物と比較検討し, 以下の結果を得た. 1.食用カンナの乾物生産速変 (CGR) は, トウモロコシと比べて劣っていたが, カンショに比較して高い値を示した.しかし, カンナは全生育期間が長いため, 最終乾物重ではトウモロコシに比べて大きい値を示した.カンナの葉面積指数 (LAI) は, 他の2作物と比べて著しく高く, 長期間にわ...
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Veröffentlicht in: | Nettai nōgyō 1987/09/01, Vol.31(3), pp.172-178 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | eng ; jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 食用カンナは, 西ドイツ諸島, 南米に起源し, 現在では熱帯アジア, 太平洋諸島まで広く分布している.その多くの栽培形態は, 庭先作物 (Garden crop) として利用されているにすぎない.本研究では, 日本とタイで食用カンナの備えた乾物および地下部生産特性を他作物と比較検討し, 以下の結果を得た. 1.食用カンナの乾物生産速変 (CGR) は, トウモロコシと比べて劣っていたが, カンショに比較して高い値を示した.しかし, カンナは全生育期間が長いため, 最終乾物重ではトウモロコシに比べて大きい値を示した.カンナの葉面積指数 (LAI) は, 他の2作物と比べて著しく高く, 長期間にわたって高いLAIが維持された.その最大CGRはほぼ20g/m2・dayであった. 2.食用カンナの群落構造は, 群落の下層まで全層にわたって直立した葉身によって構成されていた.このため, 群落の受光態勢が優れ, 群落内への光透過率を示す吸光係数 (k) はトウモロコシと同じ値で表わされた.食用カンナの光合成速度は低く, その最大値は13mgCO2/dm2・hで光飽和点も他作物と比べて明らかに低かった. 3.遮光処理による耐陰性の比較では, 遮光区の乾物増加重 (△W) およびNARともカンナでトウモロコシに比較して高く, カンナの耐陰性が高いことが認められた.食用カンナの乾物生産には, その低い光合成速度を高いLAIで補い, 高いLAIは良好な受光態勢と高い耐陰性とによって支えられている特徴があった. 4.タイでの調査結果においても食用カンナは高いLAIを示し, 乾物生産に対してLAIは主要な生産要因であった.乾物収量は, カンナで10.0t/haを示し, キャツサバの収量 (11.8t/ha) と比べて大きな差異は認められなかった.また地下部乾物重は, 乾期始期に急激に増大し, 地上部の貯蔵同化産物が地下部へ転流したことを示した. |
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ISSN: | 0021-5260 2185-0259 |
DOI: | 10.11248/jsta1957.31.172 |