単独培養中に子のう殼様構造物を形成するPyricularia菌とその形成過程

本実験では,子のう殻様構造物(perithecium-like structure; PLS)を形成するPyricularia菌の探索と, PLS形成および交配による子のう殻形成過程の比較観察を行った。供試10菌株中,オヒシバいもち病菌1菌株,シコクビエいもち病菌2菌株およびアワいもち病菌1菌株の合計4菌株が単独培養中にPLSを形成することが認められた。供試した培地の中では,粉末酵母エキスを含むオートミール培地上でPLS形成が良好であった。PLS形成能を持つ4菌株の相互交配の結果,交配型の異なる菌株同志ではいずれも両菌叢の接触線をはさんで2列に子のう殻が形成され, 4菌株とも両性株と判断された...

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Veröffentlicht in:Nippon shokubutsu byōri gakkai 1986/04/25, Vol.52(2), pp.312-319
Hauptverfasser: 生井, 恒雄, 遠藤, 真木, 遊佐, 正広, 山中, 達, 江原, 淑夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本実験では,子のう殻様構造物(perithecium-like structure; PLS)を形成するPyricularia菌の探索と, PLS形成および交配による子のう殻形成過程の比較観察を行った。供試10菌株中,オヒシバいもち病菌1菌株,シコクビエいもち病菌2菌株およびアワいもち病菌1菌株の合計4菌株が単独培養中にPLSを形成することが認められた。供試した培地の中では,粉末酵母エキスを含むオートミール培地上でPLS形成が良好であった。PLS形成能を持つ4菌株の相互交配の結果,交配型の異なる菌株同志ではいずれも両菌叢の接触線をはさんで2列に子のう殻が形成され, 4菌株とも両性株と判断された。なお, A型同志のオヒシバ菌915とシコクビエ菌TEST A-11との交配では,菌叢接触部に空の子のう殻が列状に形成された。単独培養によるPLS形成過程と交配による子のう殻形成過程を比較観察した結果,培養7日目の両者の菌叢内に子のう殻の原基とみられる太い菌糸の菌糸塊が共通して認められた。その後の形成過程の観察でも, PLSは殻部内に子のうおよび子のう胞子が形成されないこと以外は交配により形成された子のう殻と区別できなかった。これらの結果から, PLSはPyricularia菌の空の子のう殻と考えられた。
ISSN:0031-9473
1882-0484
DOI:10.3186/jjphytopath.52.312