経腸栄養剤のカニクイザル腸内フローラにおよぼす影響
窒素源として乳タンパク質を, 糖質源としてデキストリン, 乳糖および乳糖の加水分解物を含有する低残渣型消化態経腸栄養剤S-185と, 窒素源としてアミノ酸混合物を, 糖質源としてデキストリンのみを含む無残渣型成分栄養剤ED-ACとを用いてカニクイザルを飼育し, 腸内フローラの変化をしらべた。 1群4頭から成るカニクイザル2群についてクロスオーバー法により両栄養剤を供与した結果, Streptococcus, BifidobacteriumおよびPeptococcaceaeの3種の微生物は, 栄養剤の種類によってその構成比が有意に変化することがわかった。この中で宿主にとって有益と考えられるBif...
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Veröffentlicht in: | Nihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi 1986/06/10, Vol.39(3), pp.181-187 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 窒素源として乳タンパク質を, 糖質源としてデキストリン, 乳糖および乳糖の加水分解物を含有する低残渣型消化態経腸栄養剤S-185と, 窒素源としてアミノ酸混合物を, 糖質源としてデキストリンのみを含む無残渣型成分栄養剤ED-ACとを用いてカニクイザルを飼育し, 腸内フローラの変化をしらべた。 1群4頭から成るカニクイザル2群についてクロスオーバー法により両栄養剤を供与した結果, Streptococcus, BifidobacteriumおよびPeptococcaceaeの3種の微生物は, 栄養剤の種類によってその構成比が有意に変化することがわかった。この中で宿主にとって有益と考えられるBifidobacteriumはS-185供与群では糞便1gあたり約1010個であり全菌数に対する構成比も28~35%を示したが, ED-AC供与群では同じく約106~108個, 0.01~0.71%であって, 明らかにS-185供与群で高かった。これに対しStreptococcusとPeptococcaceaeはED-AC供与群でそれぞれ107~108個および109個であり, S-185供与群での値, 105~106個および108~109個よりも高かった。 栄養剤の種類による構成比に有意差はなかったが, Bacteroidaceaeは全菌数に占める構成比がもっとも高く, S-185供与群では33~44%, ED-AC供与群では67~76%であった。また, BifidobacteriumとBac-teroidaceaeの増減は相互に拮抗しており, S-185供与群ではBifidobacteriumの増加とともにBacteroidaceaeが減少した。ED-AC供与群では逆の傾向がみられた。 このような現象は飼料として用いた両栄養剤の成分組成, すなわち窒素源と糖質組成のちがいによるものと考えられたが, とくに糖質組成のちがいが大きいと考えられ, S-185に含まれる乳糖およびその酵素加水分解物が小腸で吸収されず大腸まで到達するため, 下部消化管中に存在するBifidobacteriumのような有用菌の増殖を促進するものと考えられた。カニクイザルで得られたこれらの実験結果はヒト成人にもあてはまるものと考えられる。 |
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ISSN: | 0287-3516 1883-2849 |
DOI: | 10.4327/jsnfs.39.181 |