成牛における牛コロナウイルス感染症の再発生例
三重県津市の一酪農家で, 1982年12月および1983年12月の2回にわたり, 同一牛群で牛の流行性下痢の発生があった. 発生は主に成牛に認められ, 第1回発生時36頭中22頭, 第2回発生時47頭中24頭に激しい水様性下痢便の排出と急激な乳量の低下を認めた. すなわち, 第1回と第2回の発生をとおして飼育されていた牛は21頭であったが, このうち, 第1回, 第2回ともに発症した牛は12頭と半数をこえていた. 両発生例ではともに下痢は3-6日で回復し, 死亡牛は認められなかった. 下痢便の病原検索で有意な細菌およびウイルスは分離されなかった. これら牛群の一部の牛ペア血清についての既知ウイ...
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Veröffentlicht in: | Nippon Juishikai zasshi 1986/05/20, Vol.39(5), pp.298-302 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 三重県津市の一酪農家で, 1982年12月および1983年12月の2回にわたり, 同一牛群で牛の流行性下痢の発生があった. 発生は主に成牛に認められ, 第1回発生時36頭中22頭, 第2回発生時47頭中24頭に激しい水様性下痢便の排出と急激な乳量の低下を認めた. すなわち, 第1回と第2回の発生をとおして飼育されていた牛は21頭であったが, このうち, 第1回, 第2回ともに発症した牛は12頭と半数をこえていた. 両発生例ではともに下痢は3-6日で回復し, 死亡牛は認められなかった. 下痢便の病原検索で有意な細菌およびウイルスは分離されなかった. これら牛群の一部の牛ペア血清についての既知ウイルスの抗体検査では, 牛ロタウイルス, 牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルス, 牛伝染性鼻気管炎ウイルス, 牛アデノウイルス7型の抗体は陰性であったが, 牛コロナウイルス (BCV) に対するHI抗体が有意に上昇した牛が第1回発生時27頭中10頭, 第2回発生時10頭中6頭に認められ, 本ウイルスの感染が疑われた. すなわち, BCVのHI抗体は第1回発生後160-2, 560倍 (平均483倍) と全頭高い値を示したが, 6ヵ月後には20-80倍 (平均31倍) と低下し, 第2回発生後再び80-640倍 (平均205倍) と上昇した. 再発生病牛12頭中, 検査した10頭のBCVに対するHI抗体価は第1回発生時の前血清の平均40倍から後血清では平均557倍に, 第2回発生時の前血清の平均30倍から後血清では平均233倍となり, いずれも後血清で高い上昇を認めた. |
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ISSN: | 0446-6454 2186-0211 |
DOI: | 10.12935/jvma1951.39.298 |