ジャガイモの酸性ピロホスファターゼの精製とその性質

高等植物の縮合リン酸分解酵素の性質を明らかにするために,ジャガイモから酸性ピロホスファターゼを精製し,その性質を検討した. (1) ジャガイモ塊茎から水抽出,酸性処理,硫安分画,アセトン分画,セルロースクロマトグラフィー,P-セルロースおよびDEAE-セファデックスA-50クロマトグラフィーによって酵素を精製し, 2つの画分IとIIを得た.画分Iは活性収量1.5%で比活性は約200倍に上昇したが,電気泳動的には3本のバンドが認められた.画分IIは活性収量4.7%で2500倍に精製され,電気泳動的に1本のバンドが認められた.精製酵素はPPiに最も高い活性を示したが, TPiおよびTMにも作用し,...

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Veröffentlicht in:Nippon nōgei kagakukaishi 1983, Vol.57(10), pp.1009-1015
Hauptverfasser: 種村, 安子, 和田, 博, 伊藤, 尚, 柘植, 治人, 大橋, 一二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:高等植物の縮合リン酸分解酵素の性質を明らかにするために,ジャガイモから酸性ピロホスファターゼを精製し,その性質を検討した. (1) ジャガイモ塊茎から水抽出,酸性処理,硫安分画,アセトン分画,セルロースクロマトグラフィー,P-セルロースおよびDEAE-セファデックスA-50クロマトグラフィーによって酵素を精製し, 2つの画分IとIIを得た.画分Iは活性収量1.5%で比活性は約200倍に上昇したが,電気泳動的には3本のバンドが認められた.画分IIは活性収量4.7%で2500倍に精製され,電気泳動的に1本のバンドが認められた.精製酵素はPPiに最も高い活性を示したが, TPiおよびTMにも作用し,これら3つの活性を互いに分離することはできなかった. (2) 精製酵素(画分II)の最適pHは5.0~6.0,最適温度は50°Cであり, 60°Cでは失活した. (3) 基質特異性については画分IとIIで違いが認められた.すなわち,画分Iは酸無水物とp-ニトロフェニールリン酸に作用し,β-グリセロリン酸などのモノエステルには作用しなかったが,画分IIは非特異的に作用した. (4) 画分IIはHg2+およびF-によって著しく阻害された. (5) ピロリン酸塩に対する画分IIのKm値は12.2×10-3Mであった.
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.57.1009