腸管平滑筋におけるK-除去液収縮の感受性の動物種差について
栄養液中からKClを除いた液 (以下K除去液と略す) と強心配糖体の1つであるウワバインは腸管平滑筋を収縮させ, それらの収縮は同一機構によると言われている. 前報において各種動物の回腸標本を用いた実験で, ウワバインによる収縮の感受性には動物種差があると報告した. 本実験では, K除去液による収縮反応を各種動物 (サル, イヌ, ネコ, ウサギ, モルモット, ラット, マウス, ハタネズミ, シカ, ニワトリ, ハト, カエル, ガマ) の摘出回腸標本を用いて検討した. 収縮はマグヌス法により等張性に記録した. ネコとシカの回腸はK除去液により持続性に収縮し, 他の動物の回腸は収縮後弛緩し...
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Veröffentlicht in: | Japanese journal of veterinary science 1982/04/25, Vol.44(2), pp.259-266 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 栄養液中からKClを除いた液 (以下K除去液と略す) と強心配糖体の1つであるウワバインは腸管平滑筋を収縮させ, それらの収縮は同一機構によると言われている. 前報において各種動物の回腸標本を用いた実験で, ウワバインによる収縮の感受性には動物種差があると報告した. 本実験では, K除去液による収縮反応を各種動物 (サル, イヌ, ネコ, ウサギ, モルモット, ラット, マウス, ハタネズミ, シカ, ニワトリ, ハト, カエル, ガマ) の摘出回腸標本を用いて検討した. 収縮はマグヌス法により等張性に記録した. ネコとシカの回腸はK除去液により持続性に収縮し, 他の動物の回腸は収縮後弛緩した. 各種動物の回腸のK除去液による収縮は KCl (5.4mM) の添加によりただちに弛緩するが, ウワバイン (1×10-5M) の存在によりこの速い弛緩は抑制された. 各種動物の回腸標本のK除去液による収縮の感受性は 40mM KCl の収縮を100%とした時の相対的な収縮率(%)で表わされ, ハト(96.0%), カエル(93.0%), ハタネズミ(89.0%), イヌ(77.8%) およびネコ(64.5%) の回腸は感受性が高く, シカ(53.0%), サル(48.9%), ニワトリ(42.9), モルモット(39.0%), ラット(35.0%) およびウサギ(27.4%) の回腸がこれに続いて高く, マウス(22.4%) とガマ(17.0%) の回腸の感受性は低かった. また各種動物の回腸のアセチルコリン収縮には感受性の差を認めなかった. 以上の成績から, K除去液は各種動物の回腸を収縮させ, その収縮率はウワバインによる収縮の感受性の動物差と似た結果を示した. これらの成績は, K除去液とウワバインが electrogenic Na pump (Na, K-ATPase) の抑制を介する脱分極により収縮を発生するという考えを支持するものと思われる. |
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ISSN: | 0021-5295 1881-1442 |
DOI: | 10.1292/jvms1939.44.259 |