イネ体におけるプロパホスの代謝・移行とツマグロヨコバイに対する殺虫活性との関係

水耕法で栽培したイネと, これを吸汁したツマグロヨコバイにおけるプロパホスの挙動を調べ, その殺虫性を明らかにせんとした. イネ体では, 根部に吸収, 蓄積されたプロパホスは, 葉鞘, 葉身に移行し, そこで酸化体であるスルホキシドやスルホンに代謝された. とくに葉尖ではスルホン体の濃度が高かった. このイネを吸汁した時, ツマグロヨコバイのKT50値とイネ体内のS, SO, SO2体濃度との間に高い相関が認められた. また, 虫体内濃度とそれに対応するイネ体内濃度の分析結果から, 以下のことが明らかになった. 1) イネ体地上部に分布するSO, SO2体はS体と同様, 殺虫活性成分として作用...

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Veröffentlicht in:Journal of Pesticide Science 1979/11/20, Vol.4(4), pp.439-446
Hauptverfasser: 加藤, 義郎, 河内, 信行, 浅香, 四郎, 湖山, 利篤
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:水耕法で栽培したイネと, これを吸汁したツマグロヨコバイにおけるプロパホスの挙動を調べ, その殺虫性を明らかにせんとした. イネ体では, 根部に吸収, 蓄積されたプロパホスは, 葉鞘, 葉身に移行し, そこで酸化体であるスルホキシドやスルホンに代謝された. とくに葉尖ではスルホン体の濃度が高かった. このイネを吸汁した時, ツマグロヨコバイのKT50値とイネ体内のS, SO, SO2体濃度との間に高い相関が認められた. また, 虫体内濃度とそれに対応するイネ体内濃度の分析結果から, 以下のことが明らかになった. 1) イネ体地上部に分布するSO, SO2体はS体と同様, 殺虫活性成分として作用する. 2) 高濃度の殺虫成分を含むイネを吸汁した虫の死亡個体からは高濃度の殺虫成分が検出された. 3) イネ体内濃度と虫体内濃度との間に高い相関が認められた. 4) イネ体とこれを吸汁した虫の体内のS, SO, SO2体の存在比率を比較すると, 虫体のほうが酸化代謝が進行しており, 酸化体の比がより高かった. 5) 感受性の異なる2種のツマグロヨコバイ間では, 抵抗性種の体内濃度は感受性種のそれより低く, 両者間にプロパホスの代謝, 解毒能力の差が存在することが推定された.
ISSN:1348-589X
0385-1559
1349-0923
DOI:10.1584/jpestics.4.439