灰色かび病菌における室内と圃場条件下でのプロサイミドン耐性化の相違

室内試験で,灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の分生胞子,菌糸および罹病組織などから,プロサイミドン耐性菌がかなりの高頻度で検出された。同様に,分生胞子からベノミル耐性菌発生の検討を行ったところ,その出現は全く認められなかった。ハウス栽培したバラの灰色かび病菌一菌株を対象に,3年間にわたり19回薬剤散布を行い,その間に分離した灰色かび病菌の薬剤感受性を調べたところ,室内試験結果とは逆に,プロサイミドン耐性菌の発生は全く認められなかったにもかかわらず,ベノミル耐性菌は3回散布後頃から認められ始め,5回散布後では分離菌の約80%が高度耐性菌となっていた。プロサイミドンに対する室内耐性...

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Veröffentlicht in:Nippon shokubutsu byōri gakkai 1979/07/25, Vol.45(3), pp.283-290
Hauptverfasser: 久田, 芳夫, 高木, 宏和, 川瀬, 保夫, 尾崎, 俊明
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:室内試験で,灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の分生胞子,菌糸および罹病組織などから,プロサイミドン耐性菌がかなりの高頻度で検出された。同様に,分生胞子からベノミル耐性菌発生の検討を行ったところ,その出現は全く認められなかった。ハウス栽培したバラの灰色かび病菌一菌株を対象に,3年間にわたり19回薬剤散布を行い,その間に分離した灰色かび病菌の薬剤感受性を調べたところ,室内試験結果とは逆に,プロサイミドン耐性菌の発生は全く認められなかったにもかかわらず,ベノミル耐性菌は3回散布後頃から認められ始め,5回散布後では分離菌の約80%が高度耐性菌となっていた。プロサイミドンに対する室内耐性菌は,感受性の親株に比べ病原性,胞子形成能などが劣っていた。また,比較的病原性の高い室内耐性菌を使って親株との競合力を調べたところ,室内耐性菌は植物体上できわめて劣性であった。以上の結果から,プロサイミドン耐性菌は,薬剤圧により宿主植物体上で出現したとしても,その個体群の中で優性になり難いのではないかと考えられる。また,耐性菌発生の難易を,限られた室内実験によってのみ推定することは困難であることが示唆された。
ISSN:0031-9473
1882-0484
DOI:10.3186/jjphytopath.45.283