日本の肉用種若鶏に自然発生したビタミンD3欠乏性クル病の病理

1974年9月から12月にかけて, 3養鶏農場の肉用種若鶏に多発したクル病48羽(28~69日齢)の, 骨と上皮小体を病理学的に検索した. 主な肉眼病変は発育不良, 肋骨頭の腫大, 全身骨の肥大, ならびに上皮小体の著明な腫大であった. 骨の組織病変は, その形成過程を考慮に入れて, I~IIIの病期に大別した. I期の病変は初期変化に相当し, 肥大軟骨細胞層の軽度の増幅を主体としていた. II期の病変は肥大軟骨細胞層の著明な増幅と旺盛な軟骨内骨化, 破骨細胞性骨吸収を伴った中等度の内骨膜性異常造骨からなり, さらに, 外骨膜性異常造骨, 脱ミネラル化が皮質骨にしばしば認められた. III期の...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of veterinary science 1979/10/25, Vol.41(5), pp.517-530
Hauptverfasser: 板倉, 智敏, 武知, 雅人, 宮川, 義史, 五藤, 精知
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1974年9月から12月にかけて, 3養鶏農場の肉用種若鶏に多発したクル病48羽(28~69日齢)の, 骨と上皮小体を病理学的に検索した. 主な肉眼病変は発育不良, 肋骨頭の腫大, 全身骨の肥大, ならびに上皮小体の著明な腫大であった. 骨の組織病変は, その形成過程を考慮に入れて, I~IIIの病期に大別した. I期の病変は初期変化に相当し, 肥大軟骨細胞層の軽度の増幅を主体としていた. II期の病変は肥大軟骨細胞層の著明な増幅と旺盛な軟骨内骨化, 破骨細胞性骨吸収を伴った中等度の内骨膜性異常造骨からなり, さらに, 外骨膜性異常造骨, 脱ミネラル化が皮質骨にしばしば認められた. III期の病変では肥大軟骨細胞層は類骨梁化され, 増幅した増殖軟骨層が骨端軟骨の大部分を構成する例が目立った. また内骨膜性異常造骨は極めて著明で, 骨髄腔の広域が新生異常造骨組織で置換されていた. さらに皮質骨内方は, 破骨細胞性骨吸収によりしばしば粗鬆化していた. 検索したすべての上皮小体は機能充進の像を示し, これは主細胞の腫大と増生を主体としていた. 以上の所見から, 若鶏のクル病の骨病変は時とともに推移し, 骨病変の形成に上皮小体機能亢進が深く関与するものと思考された. 今回のクル病は飼料中のビタミンD3欠乏によって惹起されたものと見なされた.
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.41.517