カフェイン塗布を施したスライドグラスによる豚精子活力の検査

本実験では,精子の活力や代謝を刺激する作用のあるカフェインを用いて豚精子運動性の回復促進を試みた。 カフェインは,活力検査器具であるスライドグラスに直接塗布して用いた。無水カフェインはエタノールに溶解させ,これを2×7.5cmのスライド1枚につき25μlずつ塗布し,エタノールを急速に蒸発させてカフェイン•スライドを作成し(図1),使用するまでスライドボックスで保管した。 スライドはあらかじめ38°Cに加温しておき,これに10μlの精液をつけたカバーグラス(1.8×1.8cm)をかぶせて精液を両者の間に薄層とし,精子活力を加温顕微鏡下で検査した。 塗布したエタノール溶液のカフェイン濃度が0.5~...

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Veröffentlicht in:Kachiku hanshokugaku zasshi (Tōkyō. 1977) 1978/09/30, Vol.24(3), pp.100-104
Hauptverfasser: 番場, 公雄, 小島, 義夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本実験では,精子の活力や代謝を刺激する作用のあるカフェインを用いて豚精子運動性の回復促進を試みた。 カフェインは,活力検査器具であるスライドグラスに直接塗布して用いた。無水カフェインはエタノールに溶解させ,これを2×7.5cmのスライド1枚につき25μlずつ塗布し,エタノールを急速に蒸発させてカフェイン•スライドを作成し(図1),使用するまでスライドボックスで保管した。 スライドはあらかじめ38°Cに加温しておき,これに10μlの精液をつけたカバーグラス(1.8×1.8cm)をかぶせて精液を両者の間に薄層とし,精子活力を加温顕微鏡下で検査した。 塗布したエタノール溶液のカフェイン濃度が0.5~2.0%であるカフェイン•スライドでは,加温開始後1~2分間で精子活力が高い値を示した(表1)。カフェイン濃度が2.0%のときエタノール中で再結晶し易く,塗布の状態も不均一になり,また活力回復効果は1.0%区とほぼ同じであることから,用いる濃度は1.0%が適していると思われる。 カフェイン•スライド(1.0%)と無処理スライドを使って無希釈と希釈精液を検査した結果,いずれもカフェイン•スライドの方が高い活力を示した(表2)。 2~3日間保存した無希釈精液を検査する際にカフェイン•スライドを使用すると,精子の尾部凝集の発生がみられた(図2)。 カフェイン•スライドは簡単に作製でき,これを使用すればアナビオーシス回復のために特別の振盪器具を必要とせず,簡便で短時間のうちに保存した豚精子の活力が回復できるので,人工授精業務や研究面での利用価値が高いと思われる。
ISSN:0385-9932
DOI:10.1262/jrd1977.24.100