反芻動物の低マグネシウム血症に関する実験的研究 : I. 冬季飼料から春の牧草に転換した羊のミネラル・バランスについて

未妊娠雌羊5頭を用い, 冬季飼料(16日間)から春の牧草(14日間), ついで再び冬季飼料(7日間)へと急に転換し, 無機質のバランス実験を行った. 各期それぞれ体重kgあたりほぼ一定量の飼料を与え, 毎日の無機質の摂取量, 糞および尿への排泄量から, Mg代謝に対する他の無機質代謝の関係を検討した. 1. 毎日消費した飼料の組成を分析した結果, 牧草給与のとき, 粗蛋白, 粗脂肪および粗繊維の量には, 冬季飼料給与のときと, ほとんど差がなかったが, 無機質と可溶無窒物には差があった. 春の牧草にはKが著しく多く, Ca, Mg, PおよびNaが少なかった. 2. 冬季飼料から春の牧草に転換...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of veterinary science 1978/08/25, Vol.40(4), pp.407-414
Hauptverfasser: 篠崎, 謙一, 藤田, 和雄, 志賀, 瓏郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:未妊娠雌羊5頭を用い, 冬季飼料(16日間)から春の牧草(14日間), ついで再び冬季飼料(7日間)へと急に転換し, 無機質のバランス実験を行った. 各期それぞれ体重kgあたりほぼ一定量の飼料を与え, 毎日の無機質の摂取量, 糞および尿への排泄量から, Mg代謝に対する他の無機質代謝の関係を検討した. 1. 毎日消費した飼料の組成を分析した結果, 牧草給与のとき, 粗蛋白, 粗脂肪および粗繊維の量には, 冬季飼料給与のときと, ほとんど差がなかったが, 無機質と可溶無窒物には差があった. 春の牧草にはKが著しく多く, Ca, Mg, PおよびNaが少なかった. 2. 冬季飼料から春の牧草に転換すると, Ca, PおよびMgの糞および尿への排泄率が増加し, 負のバランスを示した. この結果, Mgと無機Pの血清濃度は有意に低下したが, Ca濃度は低下しなかった. また春の牧草から冬季飼料に戻すと, Ca, MgおよびPは再び正のバランスを示し, Mgと無機Pの血清濃度は始めの値に復帰した. 3. 糞および尿へのKおよびNaの排泄が増加し, それらのバランスはある程度減少したが, KとNaの血清濃度は変化しなかった. 4. 牧草給与のとき, Mgの糞への排泄量と, Ca, P, NaおよびKの糞への排泄量との間に, またMgバランスとCaおよびPのバランスとの間に, また尿Mgの排泄量と尿Caの排泄量との間に, 有意の正の相関が認められた. 5. これらの成績は, CaとMgの糞, 尿への排泄およびバランスの間に密接な平行関係があったことを示唆している. 本論文の要旨は第81回日本獣医学会(1976年4月, 東京)で報告した.
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.40.407