クワコ繭層セリシンのアミノ酸組成とその種属特異性
繭糸虫類の繭層セリシンのアミノ酸組成に種属特異性がみられるか否かを知るために, クワコセリシンのアミノ酸分析を行い, 家蚕および野蚕との間で比較し, 以下のような結果を得た。 1. クワコ繭層のセリシン量は外層の方が内層より多く, アミノ酸回収率は逆に内層の方で高いことが示された。繭綿は繭層よりもセリシン量が多く, また繭綿セリシンのアミノ酸回収率は繭層セリシンよりも低いことが示された。 2. クワコ繭層セリシンのアミノ酸組成はSerが約29mol%を占め, 以下Asp, Gly, Thr, Ala, Glu, Tyr, Arg, Val, Lys, Leu, His, Ile, Pro, C...
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Veröffentlicht in: | Nihon sanshigaku zasshi 1978/04/28, Vol.47(2), pp.108-112 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 繭糸虫類の繭層セリシンのアミノ酸組成に種属特異性がみられるか否かを知るために, クワコセリシンのアミノ酸分析を行い, 家蚕および野蚕との間で比較し, 以下のような結果を得た。 1. クワコ繭層のセリシン量は外層の方が内層より多く, アミノ酸回収率は逆に内層の方で高いことが示された。繭綿は繭層よりもセリシン量が多く, また繭綿セリシンのアミノ酸回収率は繭層セリシンよりも低いことが示された。 2. クワコ繭層セリシンのアミノ酸組成はSerが約29mol%を占め, 以下Asp, Gly, Thr, Ala, Glu, Tyr, Arg, Val, Lys, Leu, His, Ile, Pro, Cys, Phe, Gal, Met, Glcの順に少ないことが示された。また内層と外層間の比較では, 内層においてThr, Glc, Galが多いことを知った。また極性側鎖をもつアミノ酸群の量は家蚕より少ないことが示された。 3. 繭綿セリシンは繭層セリシンに比較してSer, Gly, ValおよびTyrが多く, Thr, Asp, Ala, Cys, Leu, Glc, Gal, Lys, Hisは少ないことが認められた。 4. クワコセリシンのアミノ酸組成は家蚕セリシンと高い類似性が認められたが, Antheraea, Philosamia とは異なったパターンであることが示唆された。 5. 以上のことから, クワコ繭層セリシンには生物学的種属特異性があると推論した。 |
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ISSN: | 0037-2455 1884-796X |
DOI: | 10.11416/kontyushigen1930.47.108 |