鶏雛のカビ(Aspergillus fumigatus)性眼炎に関する病理学的観察

AsPergillusfumigatusの眼への感染は,REIS(1940),HUDSON(1946),SPERLING(1953)が鶏において,MooO(1953)が七面鳥において,認めているに過ぎず,本症の病理像はいまだ明らかでない.著者らは,鶏雛において,本菌の眼への自然感染例に遭遇したので,それらを病理学的に観察した.検索材料は,10羽の雛(白色コーニイッシュと白色ロックとの交雑種,22~28日齢,雄3例,雌7例,すべて殺倒)から成る.これらは,兵庫県(A群),岡山県(B群)の2養鶏場において発生した.罹病眼は,すべての例において一側性(右眼8例,左眼2例)であった.それらは,肉眼的に...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of veterinary science 1973/12/25, Vol.35(6), pp.473-479_3
Hauptverfasser: 板倉, 智敏, 五藤, 精知, 藤原, 三男
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:AsPergillusfumigatusの眼への感染は,REIS(1940),HUDSON(1946),SPERLING(1953)が鶏において,MooO(1953)が七面鳥において,認めているに過ぎず,本症の病理像はいまだ明らかでない.著者らは,鶏雛において,本菌の眼への自然感染例に遭遇したので,それらを病理学的に観察した.検索材料は,10羽の雛(白色コーニイッシュと白色ロックとの交雑種,22~28日齢,雄3例,雌7例,すべて殺倒)から成る.これらは,兵庫県(A群),岡山県(B群)の2養鶏場において発生した.罹病眼は,すべての例において一側性(右眼8例,左眼2例)であった.それらは,肉眼的には,上・下両眼瞼の著明な腫脹と,角膜表面に黄色乾酪化物の付着を示した.なお,B群例の罹病眼からは,AsPergillusfumigatusが分離された.組織病変は,角膜,前眼房,眼球結膜,虹彩,毛様体に限局していた.その病変は,偽好酸球を混じた線維素を主成分とする滲出性変化と,これれに対する異物巨細胞を含む幼若な肉芽組織の増殖から成っていた.前者の滲出性変化は,角膜および前眼房に主座し,後者の肉芽性病変は,それを囲繞する周囲組織から発達していた.滲出物の表層および異物巨細胞内には,菌糸が認められた.水晶体を含め,眼深部には,特記すべき変化は認められなかった.本菌に起因する内臓病変としては,2例の肺と1例の気嚢に,肉芽腫の形成が所見されたのみであった.本菌の眼への感染機序としては,外部からの直接感染が示唆された.感染源としては,A-B再群とも,敷料として用いられたチップに疑いがもたれた.
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.35.473