14C-トレーサー法による温州ミカンの有機酸と糖の季節的変化に関する研究

温州ミカンの糖および有機酸との間の生理代謝関係について,時期別に追跡した. (1) 幼果期に14CO2同化を行ない,果実中の14Cの移行分布を7月から11月にかけて観察した結果,幼果期に蓄積した14Cは成熟期までほとんど失われずに果実内にとどまっていることを明らかにした.また,果実内で物質の転換があることを認めた. (2) 炭酸同化生成物の葉から果実への転流速度は7~8月に最も大きく, 9月後期から激減した.転流量は8月後期に最高値を記録した.また,転流物質の主体は糖であると推定された. (3) D-ブドウ糖-U-14Cおよびショ糖-U-14Cを果実に取り込ませた結果,前者は容易に代謝分解され...

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Veröffentlicht in:Nippon nōgei kagakukaishi 1973, Vol.47(9), pp.571-576
Hauptverfasser: 沢村, 正義, 橋永, 文男, 筬島, 豊
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:温州ミカンの糖および有機酸との間の生理代謝関係について,時期別に追跡した. (1) 幼果期に14CO2同化を行ない,果実中の14Cの移行分布を7月から11月にかけて観察した結果,幼果期に蓄積した14Cは成熟期までほとんど失われずに果実内にとどまっていることを明らかにした.また,果実内で物質の転換があることを認めた. (2) 炭酸同化生成物の葉から果実への転流速度は7~8月に最も大きく, 9月後期から激減した.転流量は8月後期に最高値を記録した.また,転流物質の主体は糖であると推定された. (3) D-ブドウ糖-U-14Cおよびショ糖-U-14Cを果実に取り込ませた結果,前者は容易に代謝分解されて有機酸を生成したが,後者は代謝作用を受けにくいことを示した. (4) クエン酸-1, 5-14Cを果実に導入したところ, 9月後期以後に中性画分への取り込みがみられ,クエン酸から糖への逆合成が行なわれていることを示唆した. (5) CO2暗固定実験において,最初にリンゴ酸が生成されることを示した. 9月後期以後はリンゴ酸よりもクエン酸画分の放射能が高かったが,これはリンゴ酸からクエン酸へのturnoverが早いことによるものと推察した. 終りに,本研究に対し助言ならびに試料を提供してくださいました本学村西三郎教授に深甚なる感謝の意を表します. 本研究の概要は,第10回化学関連支部合同九州大会で発表した.
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.47.571