カーネーションのマンガン過剰症に関する研究 (第1報): 土壌の蒸気消毒とpHについて
Mn含量の高い土壌の蒸気消毒やpHが, カーネーション (品種, ‘コーラル’, ‘よそおい’) の生育, 開花に及ぼす影響を明らかにするため研究を行なつた. また, 植物体各部の化学的成分, 土壌の化学的性質についても調査した. 処理区の土壌のpHは, High (H), Medium(M), Low (L), Very low (V1) の4段階, 蒸気消毒は消毒と無消毒の2種類で, それぞれを組み合わせて実験を行なつた. 1. 蒸気消毒土壌では, ‘コーラル’と‘よそおい’の切花数や生体重は, V1区で減少した. 無消毒土壌では, ‘よそおい’のそれらは, LおよびV1区で減少した. ま...
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Veröffentlicht in: | Engei Gakkai zasshi 1973, Vol.42(1), pp.40-48 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Mn含量の高い土壌の蒸気消毒やpHが, カーネーション (品種, ‘コーラル’, ‘よそおい’) の生育, 開花に及ぼす影響を明らかにするため研究を行なつた. また, 植物体各部の化学的成分, 土壌の化学的性質についても調査した. 処理区の土壌のpHは, High (H), Medium(M), Low (L), Very low (V1) の4段階, 蒸気消毒は消毒と無消毒の2種類で, それぞれを組み合わせて実験を行なつた. 1. 蒸気消毒土壌では, ‘コーラル’と‘よそおい’の切花数や生体重は, V1区で減少した. 無消毒土壌では, ‘よそおい’のそれらは, LおよびV1区で減少した. また, ‘コーラル’では, LおよびV1区で開花がみられなかつた. ‘よそおい’の開花は, 無消毒土壌よりも, 消毒土壌のほうがやや早かつた. 消毒土壌の‘コーラル’の開花は, 土壌のpHがMからV1へ低下するにつれて著しく遅れた. 2. ‘よそおい’の開花および未開花個体の各部位のMnは, 消毒のいかんにかかわらず, 土壌のpHが低下するにつれて明らかに増加した. ‘コーラル’のMn含量も, ‘よそおい’と同様の傾向を示した. ‘コーラル’の開花個体の葉のMn含量は, H区を除き‘よそおい’のそれよりも高かつた. 両品種の未開花個体の葉のN, K含量およびFe: Mn比は, V1区のK含量を除き, 消毒のいかんにかかわらず, 土壌のpHが低下するにつれて減少した. 両品種の開花個体も, 未開花個体と同じ傾向を示した. 3. ‘コーラル’と‘よそおい’の葉先のかつ変枯死症状の程度は, 消毒のいかんにかかわらず, 土壌のpHが低下するにつれて高まつた. 両品種の若い茎葉には, クロロシスがLおよびV1区でみられた. ‘コーラル’のクロロシスの程度は, ‘よそおい’よりも著しかつた. クロロシス個体の葉と茎のMn含量は, 健全個体のそれよりも著しく高かつたが, クロロシス個体の葉のN, K, Ca, Fe含量は, 健全個体よりも低かつた. 4. 土壌のpHがHからV1へ低くなるにつれて, 実験終了時における土壌の水溶性Mn, NH4-N, A1含量およびE.C. は高まつたが, 易還元性Mn含量は低下した. 蒸気消毒した場合, 置換性Mnはやや高かつたが, NH4-NおよびE.C. はやや低かつた. この研究の結果は, Mnを多量に含む土壌におけるカーネーションの生育の遅延, 葉先のかつ変枯死症状, 若い茎葉のクロロシスが, 植物による過剰のMn吸収と深い関係があることを示している. |
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ISSN: | 0013-7626 1880-358X |
DOI: | 10.2503/jjshs.42.40 |