昇温加熱デバイスを備えたDirect Analysis in Real Time (DART)-MSを用いた潤滑油の迅速劣化評価

潤滑油は基油と種々の添加剤で構成され,組成分析には複雑な前処理が不可欠なため膨大な労力と時間を要する.昇温加熱デバイスを備えたDirect Analysis in Real Time (DART)-MSを用いて劣化潤滑油を分析したところ,前処理をせずに潤滑油中の添加剤と基油を検出できた.低温側(340℃ 以下)では,粘度調整剤や酸化防止剤と思われる添加剤成分が検出された.それらの残存量を指標とすることで潤滑油の劣化を簡易に評価することができた.高温側(380℃ 以上)では主に基油が観測されたが,そのマススペクトルは非常に複雑であった.そこで,基油の組成変化をKendrick mass defe...

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Veröffentlicht in:Bunseki kagaku 2019/07/05, Vol.68(7), pp.483-490
Hauptverfasser: 竹井, 千香子, 吉沢, 賢一, 中村, 清香, Thierry, FOUQUET, 佐藤, 浩昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:潤滑油は基油と種々の添加剤で構成され,組成分析には複雑な前処理が不可欠なため膨大な労力と時間を要する.昇温加熱デバイスを備えたDirect Analysis in Real Time (DART)-MSを用いて劣化潤滑油を分析したところ,前処理をせずに潤滑油中の添加剤と基油を検出できた.低温側(340℃ 以下)では,粘度調整剤や酸化防止剤と思われる添加剤成分が検出された.それらの残存量を指標とすることで潤滑油の劣化を簡易に評価することができた.高温側(380℃ 以上)では主に基油が観測されたが,そのマススペクトルは非常に複雑であった.そこで,基油の組成変化をKendrick mass defect(KMD)プロットにより二次元マップで表現した.KMDプロットによりエチレンオキシド系化合物も検出され,エンジンルーム内からの汚染が考えられた.このように,昇温加熱デバイスを備えたDART-MSによる測定は,潤滑油の迅速劣化評価に有効な手段であることが示された.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.68.483