口腔扁平上皮癌の増殖・進展メカニズムに関する研究 - 血管内皮増殖因子とその受容体の関与について
要旨: 癌の増殖・進展を血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)とその受容体(VEGFR-1およびVEGFR-2)が制御することが知られている. しかし, 口腔内の癌細胞に対するVEGFの関わりについてはまだ不明な点が残されている. そこで, 本研究ではVEGFおよびVEGF受容体の発現を免疫組織化学的に検索し, 口腔扁平上皮癌の増殖・進展へのVEGFの関与を明らかにすることを目的とした. その結果VEGFR-2発現率は臨床病期分類Stage I+II群と比較してIII+IV群において有意に高く, 予後因子の1つになりうることが示唆さ...
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Veröffentlicht in: | 明海歯科医学 2021-03, Vol.50 (1), p.42-53 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 要旨: 癌の増殖・進展を血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)とその受容体(VEGFR-1およびVEGFR-2)が制御することが知られている. しかし, 口腔内の癌細胞に対するVEGFの関わりについてはまだ不明な点が残されている. そこで, 本研究ではVEGFおよびVEGF受容体の発現を免疫組織化学的に検索し, 口腔扁平上皮癌の増殖・進展へのVEGFの関与を明らかにすることを目的とした. その結果VEGFR-2発現率は臨床病期分類Stage I+II群と比較してIII+IV群において有意に高く, 予後因子の1つになりうることが示唆された. また, すべての頭頸部扁平上皮癌由来株化培養細胞(HSC-2, HSC-3, HSC-4, Ca9-22, KB)の培養系に, anti-VEGF, anti-VEGFR-1およびanti-VEGFR-2中和抗体を添加することによって, 濃度依存的に口腔扁平上皮癌細胞の増殖は抑制された. またrecombinant human VEGF165を培養系に添加することによって濃度依存的にそれら癌細胞の増殖が促進された. 以上の結果から, VEGFとVEGF受容体(VEGFR-1およびVEGFR-2)の機能を阻害することによる腫瘍細胞増殖抑制効果を期待した口腔癌治療の可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1881-4298 |