大阪市における結核集団感染事例の初発患者の検討
〔目的〕結核集団感染の対策に寄与するため,集団感染事例における初発患者の分析を行う。〔方法〕2008~2014年,大阪市における集団感染事例の検討を行った。初発患者の集団区分,性別,年齢,病型,喀痰塗抹検査,受診の遅れ,診断の遅れ,発見の遅れ,定期健診の有無等を調査した。対照として,2011年,大阪市に新登録された喀痰塗抹陽性肺結核患者467例を用いた。〔結果〕集団感染は13事例で,集団区分は事業所が9,予備校・専門学校が2,中学校が1,その他が1であった。初発患者は男性が12例(92.3%),女性が1例(7.7%)であった。平均年齢は39.1歳で30~50歳代が11例(84.6%)を占め,年...
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Veröffentlicht in: | 結核 2015, Vol.90(4), pp.447-451 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔目的〕結核集団感染の対策に寄与するため,集団感染事例における初発患者の分析を行う。〔方法〕2008~2014年,大阪市における集団感染事例の検討を行った。初発患者の集団区分,性別,年齢,病型,喀痰塗抹検査,受診の遅れ,診断の遅れ,発見の遅れ,定期健診の有無等を調査した。対照として,2011年,大阪市に新登録された喀痰塗抹陽性肺結核患者467例を用いた。〔結果〕集団感染は13事例で,集団区分は事業所が9,予備校・専門学校が2,中学校が1,その他が1であった。初発患者は男性が12例(92.3%),女性が1例(7.7%)であった。平均年齢は39.1歳で30~50歳代が11例(84.6%)を占め,年齢幅は15~54歳であったが,対照とした肺結核患者は60歳以上が69.2%を占め,平均年齢は65.4歳であり,初発患者が有意に若かった(p<0.001)。受診の遅れ(症状出現から初診が2カ月以上)は10例(76.9%)で,発見の遅れ(症状出現から診断確定が3カ月以上)は8例(61.5%)であり,両者とも対照とした肺結核患者より有意に高かった(p<0.001)。定期健診は有職者11例中4例(36.4%)にあったが,この4例のうち1例は未受診,もう1例は精密検査を未受診であった。咳は全例に認め,咳の期間が2カ月以上は11例(84.6%)であった。胸部X線の病型は12例(92.3%)に空洞を認めた。喀痰塗抹陰性はなく,1+が1例(7.7%),2+が2例(15.4%),3+が10例(76.9%)であり,対照とした肺結核患者より有意に菌量が多かった(p<0.001)。〔考察〕初発患者は働き盛りの男性が多く,感染性が高い状況で発見されていた。受診の遅れを主とした発見の遅れを防ぐことと,定期健診を適切に受診させること,また,精密検査を確実に受けさせることが重要と考えられた。 |
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ISSN: | 0022-9776 1884-2410 |
DOI: | 10.11400/kekkaku.90.447 |