Bacteroides fragilis による腹部大動脈人工血管置換術後人工血管感染の1 例

要旨:症例は77 歳男性.当科にて腹部大動脈人工血管置換術を施行し,第10 病日に退院となっていたが,意識障害を主訴に第20 病日に当院救急外来を受診した.血液検査で炎症反応高値(CRP 16.8 mg/dl)が認められ,腹部CT で人工血管周囲の液貯留像,ガス像が認められ,人工血管感染の疑いで再入院となり抗生剤治療が開始された.炎症所見の改善は認められず,再入院3 日目に腹部正中切開で感染人工血管抜去術,in-situ 人工血管再置換術,および大網充填術を施行した.人工血管周囲には粉末状にした抗生剤を塗布し,フィブリングルーで固定した.術前の血液培養および術中組織培養からBacteroide...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2014, Vol.23(7), pp.1002-1006
Hauptverfasser: 池野, 友基, 山田, 章貴, 顔, 邦男, 麻田, 達郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:要旨:症例は77 歳男性.当科にて腹部大動脈人工血管置換術を施行し,第10 病日に退院となっていたが,意識障害を主訴に第20 病日に当院救急外来を受診した.血液検査で炎症反応高値(CRP 16.8 mg/dl)が認められ,腹部CT で人工血管周囲の液貯留像,ガス像が認められ,人工血管感染の疑いで再入院となり抗生剤治療が開始された.炎症所見の改善は認められず,再入院3 日目に腹部正中切開で感染人工血管抜去術,in-situ 人工血管再置換術,および大網充填術を施行した.人工血管周囲には粉末状にした抗生剤を塗布し,フィブリングルーで固定した.術前の血液培養および術中組織培養からBacteroides fragilis が検出された.1 年が経過するが,感染の再発なく良好に経過している.人工血管感染の起因菌として嫌気性菌感染も少なからずあり得ることを念頭におき,細菌検査実施時や抗生剤の選択で適切に対応する必要がある.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.14-00056