人工膝関節置換術の周術期における抗血栓薬継続の安全性評価
目的:今回われわれは,抗血栓薬継続下に施行した人工膝関節置換術(以下TKA)症例の安全性に関する検討を行ったので報告する。対象および方法:対象は変形性膝関節症57例61膝であり,抗血栓薬継続群(A群)29例31膝と,抗血栓薬非内服群(B群)28例30膝の2群に分類した。出血対策として閉創後にトラネキサム酸1,000mgのワンショット関節内投与を行い,アイシングマシーンを術後48時間使用した。検討項目は総出血量,術前後のHb値の変化,術前後の可動域,輸血の割合および合併症とし,2群間で比較検討を行った。なお,総出血量は身長と体重から割り出した循環血液量と術前後のヘマトクリット値の変化量から算出し...
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Veröffentlicht in: | 日本関節病学会誌 2022, Vol.41(1), pp.1-5 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:今回われわれは,抗血栓薬継続下に施行した人工膝関節置換術(以下TKA)症例の安全性に関する検討を行ったので報告する。対象および方法:対象は変形性膝関節症57例61膝であり,抗血栓薬継続群(A群)29例31膝と,抗血栓薬非内服群(B群)28例30膝の2群に分類した。出血対策として閉創後にトラネキサム酸1,000mgのワンショット関節内投与を行い,アイシングマシーンを術後48時間使用した。検討項目は総出血量,術前後のHb値の変化,術前後の可動域,輸血の割合および合併症とし,2群間で比較検討を行った。なお,総出血量は身長と体重から割り出した循環血液量と術前後のヘマトクリット値の変化量から算出し,また術前後のHb値の変化は術前,術後1日目,術後7日目の変化量とした。結果:総出血量はA群で362.3±240.7mL,B群で398.3±204.6mLと両群間での有意差は認められなかった。また術前後のHb値の変化も両群間で有意差を認めなかった。輸血を要した症例は両群とも1例もなく,創治癒遅延や感染症などの明らかな合併症も認められなかった。考察:今回の検討で既存の出血対策をmultimodalに行うことで抗血栓薬継続下でもTKAが安全に行えることがわかった。抗血栓薬の術前休薬に伴うリスクを回避する上で,TKAにおいては抗血栓薬の術前休薬は必ずしも必要ないものと考える。 |
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ISSN: | 1883-2873 1884-9067 |
DOI: | 10.11551/jsjd.41.1 |