linezolid 治療中に出現した縦隔炎患者由来methicillin-resistant Staphylococcus aureusのlinezolid 耐性機構
目的: linezolid (LZD) 使用14日目に出現したmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) のLZD耐性機構を明らかにした.対象: LZD耐性MRSAによる縦隔炎が発生したA病院について, 同時期に同じ病棟, 診療科に入院中の患者から分離されたMRSAならびにスタッフ保菌調査で得たMRSA20株を解析対象とした.方法: 菌株の各種薬剤に対する最小発育阻止濃度 (MIC), population解析, stepwise testによるLZDの耐性獲得, SCCmec typing, toxin typing, multi-l...
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Veröffentlicht in: | 順天堂医学 2011/08/31, Vol.57(4), pp.370-376 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的: linezolid (LZD) 使用14日目に出現したmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) のLZD耐性機構を明らかにした.対象: LZD耐性MRSAによる縦隔炎が発生したA病院について, 同時期に同じ病棟, 診療科に入院中の患者から分離されたMRSAならびにスタッフ保菌調査で得たMRSA20株を解析対象とした.方法: 菌株の各種薬剤に対する最小発育阻止濃度 (MIC), population解析, stepwise testによるLZDの耐性獲得, SCCmec typing, toxin typing, multi-locus sequence typing (MLST), pulsed field gel electrophoresis (PFGE) による分子疫学的検討を行い, LZD耐性機構として, cfr, fexAの有無, 23S rRNA domain Vの変異検出を行った.結果: LZD耐性MRSAはSCCmec type II, sec, seg, sei, tst保有, MLST ST-5に属するわが国でよくみられるhealthcare-associated MRSA (HA-MRSA) であった. 5つある23S ribosomal subunit遺伝子のうち, rrn1, rrn3, rrn5の3つにG2576 Tの共通した変異を生じており, これがLZD耐性の機序と判明した. cfr, fexAは検出されなかった. このLZD耐性MRSA株はほかのMRSAに比べ, 有意にmutation rateが高く, いわゆる“hypermutator”であることが耐性獲得に寄与していると考えられた.結論: 今回検出されたLZD耐性MRSA株は従来の報告に比べ, 非常に短期間のLZD使用後に耐性を生じていた. その原因として“hypermutator”が耐性獲得に働いた可能性は高く, このような株が医療機関に広がらないかどうか, 今後, 注意深くモニターする必要があると思われた. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.57.370 |