右上唇部に発生した唾液腺分泌癌の 1 例
背景:唾液腺分泌癌は,乳腺の分泌癌に類似した形態と ETV6::NTRK3 融合遺伝子の存在により定義され1),2017 年の WHO 分類で新たに加わった低悪性度唾液腺腫瘍である.症例:80 歳代,女性.右上唇粘膜に約 2 cm 大の腫瘍を認めた.捺印細胞診所見は,粘液様物質を背景に腫瘍細胞が孤在性からシート状,重積性細胞集塊として出現していた.N/C 比は低く細胞質は泡沫状から顆粒状,一部空胞状で好酸性細胞質も認めた.核は類円形でクロマチンは細顆粒状にやや増量し,明瞭な核小体もみられた.メイ・ギムザ染色では細胞質に異染性分泌物を示す細胞がみられた.組織所見では,腫瘍細胞は大小の微小囊胞構造...
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Veröffentlicht in: | 日本臨床細胞学会雑誌 2024, Vol.63(4), pp.194-199 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景:唾液腺分泌癌は,乳腺の分泌癌に類似した形態と ETV6::NTRK3 融合遺伝子の存在により定義され1),2017 年の WHO 分類で新たに加わった低悪性度唾液腺腫瘍である.症例:80 歳代,女性.右上唇粘膜に約 2 cm 大の腫瘍を認めた.捺印細胞診所見は,粘液様物質を背景に腫瘍細胞が孤在性からシート状,重積性細胞集塊として出現していた.N/C 比は低く細胞質は泡沫状から顆粒状,一部空胞状で好酸性細胞質も認めた.核は類円形でクロマチンは細顆粒状にやや増量し,明瞭な核小体もみられた.メイ・ギムザ染色では細胞質に異染性分泌物を示す細胞がみられた.組織所見では,腫瘍細胞は大小の微小囊胞構造を有する胞巣形成を示し分葉状に増殖し,微小囊胞内に弱好酸性の分泌様物質がみられた.免疫染色で S-100 蛋白(+),mammaglobin(+),SOX10(+)などから分泌癌と診断した.Fluorescence in situ hybridization(FISH)法で,ETV6 の遺伝子再構成がみられたが,NTRK3 の遺伝子再構成はみられなかった.結論:分泌癌は細胞像が多彩であるため種々の腫瘍との鑑別が重要である. |
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ISSN: | 0387-1193 1882-7233 |
DOI: | 10.5795/jjscc.63.194 |