当科におけるKasabach Merritt症候群の経験

【目的】Kasabach Merritt症候群(以下KMS)の治療はステロイド,interferon-α(以下IFN-α),放射線療法,塞栓療法(transcatheter arterial embolization以下TAE),外科的切除vincristine(以下VCR)等があり,それぞれの有効性が報告されているが,いまだ標準的治療法は定まっていない.今回,われわれは自験例を解析し,KMSの治療戦略について検討した.【方法】1994年から2006年までに経験したKMSの6例(年齢分布:生後2日〜2か月)の診療録から経過,治療方法,副作用,転帰について後方視的に検討した.治療法の選択はste...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2012/08/20, Vol.48(5), pp.821-828
Hauptverfasser: 風間, 理郎, 佐藤, 智行, 天江, 新太郎, 和田, 基, 佐々木, 英之, 西, 功太郎, 中村, 潤, 島岡, 理, 佐野, 信行, 石井, 智浩, 松本, 勇太郎, 仁尾, 正記, 林, 富
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】Kasabach Merritt症候群(以下KMS)の治療はステロイド,interferon-α(以下IFN-α),放射線療法,塞栓療法(transcatheter arterial embolization以下TAE),外科的切除vincristine(以下VCR)等があり,それぞれの有効性が報告されているが,いまだ標準的治療法は定まっていない.今回,われわれは自験例を解析し,KMSの治療戦略について検討した.【方法】1994年から2006年までに経験したKMSの6例(年齢分布:生後2日〜2か月)の診療録から経過,治療方法,副作用,転帰について後方視的に検討した.治療法の選択はstepwise multimodal approach(以下,SMA)に則って行い,非侵襲性で副作用の少ない方法から順に施行し,効果が得られない場合には次の治療に移行した.しかし,緊急的な対応が必要な場合には即効性のある治療法を選択した.【結果】2例でステロイドと放射線療法,2例でステロイドとIFN-α,1例でステロイド,IFN-α, VCRを行った.また,life threateningの1例はステロイド,IFN-α投与をTAE,放射線療法に切り替えて治療を行った.6例全てが寛解した.治療中の副作用として,満月様顔貌,高血圧,肝機能障害,白血球減少,局所の拘縮等が認められた.しかし,いずれの症状も治療の休止や終了,リハビリにより軽快した.【結論】SMAは,副作用を最小限に症例に適した治療法を選択し,早期にKMSから離脱するための治療戦略として有用である.但し,緊急性の高い症例ではSMAにとらわれず即効性のある治療を優先して行う必要がある.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.48.5_821