脳損傷者の運転技能に関与する認知機能について

「要旨」: はじめに: 近年, 脳損傷者の運転支援に関し多くの報告がなされているが, その背景にある認知機能は明らかにされていない. 今回我々は因子分析により脳損傷者の運転技能の背景にある認知機能について検討を行った. 方法: 対象は実車評価を実施した脳損傷者116名. 実車結果より対象者を可・不可群に分類し, 2群間で有意差のみられた検査を変数とし主因子法による因子分析を実施した. 結果: Trail Making Test-A/B等7検査11項目で2群間に有意差がみられた. 因子分析の結果, 「視覚探索と情報処理」, 「視空間認知とその操作能力」, 「遂行機能」の3因子が抽出され(累積寄与...

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Veröffentlicht in:日本臨床作業療法研究 2016-12, Vol.3 (1), p.33-38
Hauptverfasser: 加藤貴志, 末綱隆史, 山崎理絵, 久保田直文, 井野辺純一, 稲垣敦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」: はじめに: 近年, 脳損傷者の運転支援に関し多くの報告がなされているが, その背景にある認知機能は明らかにされていない. 今回我々は因子分析により脳損傷者の運転技能の背景にある認知機能について検討を行った. 方法: 対象は実車評価を実施した脳損傷者116名. 実車結果より対象者を可・不可群に分類し, 2群間で有意差のみられた検査を変数とし主因子法による因子分析を実施した. 結果: Trail Making Test-A/B等7検査11項目で2群間に有意差がみられた. 因子分析の結果, 「視覚探索と情報処理」, 「視空間認知とその操作能力」, 「遂行機能」の3因子が抽出され(累積寄与率57.8%), 実車結果との相関はそれぞれr=0.47, -0.52, -0.18であった. 考察: 神経心理学的検査を用いた脳損傷者の運転技能予測の精度は100%ではない為, 症例個々に運転可否の検討が必要な場合がある. そのような際, 運転技能の背景にある認知機能に関する知見は有用ではないかと考えられる.
ISSN:2188-8418