高拍出性心不全をともなう外傷性浅大腿動静脈瘻に対してステントグラフト内挿術を施行した1例

症例は30歳代の男性.数年前にナイフによる左大腿部の刺傷歴があった.呼吸困難と左下肢腫脹を主訴に当科を受診した.胸部単純X線検査で心胸郭比72%,血液生化学検査でNT-proBNP 1005 pg/mLと上昇していた.造影CTおよび下肢血管造影では大腿中央部の浅大腿動脈–静脈の間で瘻孔が形成しており,左下肢静脈は早期に造影され,著しく拡張していた.外傷性浅大腿動静脈瘻(AVF)による高拍出性心不全と診断し,動脈側へのステントグラフト内挿術を行う方針とした.左鼠径部から順行性にアプローチし,造影で瘻孔部を確認したのち,同部を閉鎖するようにステントグラフト(GORE Excluder, PLC18...

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Veröffentlicht in:静脈学 2019/02/21, Vol.30(1), pp.15-18
Hauptverfasser: 露木, 肇, 犬塚, 和徳, 佐野, 真規, 斉藤, 貴明, 片橋, 一人, 矢田, 達朗, 嘉山, 貴文, 山中, 裕太, 山本, 尚人, 海野, 直樹, 竹内, 裕也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は30歳代の男性.数年前にナイフによる左大腿部の刺傷歴があった.呼吸困難と左下肢腫脹を主訴に当科を受診した.胸部単純X線検査で心胸郭比72%,血液生化学検査でNT-proBNP 1005 pg/mLと上昇していた.造影CTおよび下肢血管造影では大腿中央部の浅大腿動脈–静脈の間で瘻孔が形成しており,左下肢静脈は早期に造影され,著しく拡張していた.外傷性浅大腿動静脈瘻(AVF)による高拍出性心不全と診断し,動脈側へのステントグラフト内挿術を行う方針とした.左鼠径部から順行性にアプローチし,造影で瘻孔部を確認したのち,同部を閉鎖するようにステントグラフト(GORE Excluder, PLC181000J, W. L. Gore & Associates, Inc, U.S.A)を留置した.最終造影で静脈が描出されなくなったことを確認して手術を終了した.術後7日目で下肢周径の左右差はなくなり,胸部症状も消失した.退院後の経過も良好である.四肢AVFに対するステントグラフト治療は低侵襲で有効な治療選択肢と思われた.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.18-25