在宅で親や配偶者の看取りを行う介護者の情緒体験と予期悲嘆

要旨 本研究は,在宅での看取りを行う介護者の情緒体験を明らかにし,そのなかから予期悲嘆の構成要素を見出すことを目的に,在宅で看取りを行った介護者10名に半構成的面接を行い,質的統合法(KJ法)を用いて分析した.事例ごとの個別分析を行った後,統合分析により空間配置図を作成した. その結果,予期悲嘆の構成要素としては〈死別への先行不安〉を中心的要素として,加えて〈別世界に生きる感覚:思考回路制御,孤立感,疎外感〉〈やり場のない病気への恨み・無念・怒り〉〈死を悼むスピリチュアルな喪失感〉〈介護最優先による身体への負担感・不安感〉〈家で看る調整役割の重圧感〉のあわせて6つが抽出された.また,看取りがも...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本看護科学会誌 2010/12/21, Vol.30(4), pp.4_6-4_16
Hauptverfasser: 小林 裕美, 森山 美知子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:要旨 本研究は,在宅での看取りを行う介護者の情緒体験を明らかにし,そのなかから予期悲嘆の構成要素を見出すことを目的に,在宅で看取りを行った介護者10名に半構成的面接を行い,質的統合法(KJ法)を用いて分析した.事例ごとの個別分析を行った後,統合分析により空間配置図を作成した. その結果,予期悲嘆の構成要素としては〈死別への先行不安〉を中心的要素として,加えて〈別世界に生きる感覚:思考回路制御,孤立感,疎外感〉〈やり場のない病気への恨み・無念・怒り〉〈死を悼むスピリチュアルな喪失感〉〈介護最優先による身体への負担感・不安感〉〈家で看る調整役割の重圧感〉のあわせて6つが抽出された.また,看取りがもたらした情緒体験として〈切り離せない自責の念:介護や判断への後悔〉〈家で看取ることへのプラス感情(肯定感)〉が抽出された.今後この研究結果を「予期悲嘆のアセスメントツール作成」に活用できると考える.
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.30.4_6