大動脈弓下狭小例に対する自己組織によるascending aortic extension法の中期遠隔成績:5例の経験

背景:主肺動脈の狭窄や閉鎖を伴う多くのチアノーゼ性心疾患では,上行大動脈の拡大と弓下の空間の狭小化が見られ根治術を困難にする.この問題に対する手術方法として,自己大動脈組織によるaortic extension法を考案した.方法:本術式を2005年から2013年までに肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症の1例と機能的単心室の4例の計5例に行い,手術時データ,予後,術前後大動脈造影検査で大動脈径の変化につき比較,検討した.結果:手術時年齢は18.2±7.6か月(7か月~2歳),体重は8.4±0.9 kg(7.1~10.0 kg)で,手技としては全例30分程度で施行可能だった.術前後の上行大動脈最大径/上行...

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Veröffentlicht in:日本小児循環器学会雑誌 2016/09/01, Vol.32(5), pp.417-422
Hauptverfasser: 櫻井, 一, 野中, 利通, 櫻井, 寛久, 小坂井, 基史, 野田, 美香, 大沢, 拓哉, 大橋, 直樹, 西川, 浩, 吉田, 修一朗, 鈴木, 一孝, 大森, 大輔, 山本, 英範, 佐藤, 純, 中山, 雅人
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:主肺動脈の狭窄や閉鎖を伴う多くのチアノーゼ性心疾患では,上行大動脈の拡大と弓下の空間の狭小化が見られ根治術を困難にする.この問題に対する手術方法として,自己大動脈組織によるaortic extension法を考案した.方法:本術式を2005年から2013年までに肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症の1例と機能的単心室の4例の計5例に行い,手術時データ,予後,術前後大動脈造影検査で大動脈径の変化につき比較,検討した.結果:手術時年齢は18.2±7.6か月(7か月~2歳),体重は8.4±0.9 kg(7.1~10.0 kg)で,手技としては全例30分程度で施行可能だった.術前後の上行大動脈最大径/上行大動脈末梢径比は1.64±0.22から1.01±0.36に有意に減少し弓下の拡大がえられた.術後観察期間は53.8±38.3か月(32~130か月)で,狭窄や再拡大は認めず経過良好だった.結論:自己大動脈組織のみによるaortic extension法は,大動脈径の縮小と延長が同時に可能で,成長も期待でき十分な弓下拡大による太い中心肺動脈再建や気管支の圧迫解除を可能にする有用な術式と考えられた.
ISSN:0911-1794
2187-2988
DOI:10.9794/jspccs.32.417