カナマイシンに感受性を示すウエルシュ菌による食中毒事例と分離菌株の性状

「要約」 ウエルシュ菌はアミノグリコシド系抗生物質に耐性とされ, その選択分離にはカナマイシン含有CW(+)寒天培地[CW(+)寒天]が汎用されている. 2006年4月に東京都内で発生した集団給食を原因とする食中毒事例(主症状:下痢・腹痛, 患者数:94名)は, 通常のCW(+)寒天では発育し難いウエルシュ菌によるものであった. 最初, CW(+)寒天を用いる通常の検査法を行ったところ, 患者ふん便60件中49件(81.7%)から血清型Hobbs17, 22件(36.7%)からHobbs13のウエルシュ菌が分離されたが, いずれも病原因子であるエンテロトキシンは非産生であった. 患者ふん便中の...

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Veröffentlicht in:日本食品微生物学会雑誌 2008/06/30, Vol.25(2), pp.76-82
Hauptverfasser: 門間, 千枝, 下島, 優香子, 小西, 典子, 尾畑, 浩魅, 石崎, 直人, 仲真, 晶子, 甲斐, 明美, 柳川, 義勢, 山田, 澄夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要約」 ウエルシュ菌はアミノグリコシド系抗生物質に耐性とされ, その選択分離にはカナマイシン含有CW(+)寒天培地[CW(+)寒天]が汎用されている. 2006年4月に東京都内で発生した集団給食を原因とする食中毒事例(主症状:下痢・腹痛, 患者数:94名)は, 通常のCW(+)寒天では発育し難いウエルシュ菌によるものであった. 最初, CW(+)寒天を用いる通常の検査法を行ったところ, 患者ふん便60件中49件(81.7%)から血清型Hobbs17, 22件(36.7%)からHobbs13のウエルシュ菌が分離されたが, いずれも病原因子であるエンテロトキシンは非産生であった. 患者ふん便中のエンテロトキシンは52件(86.7%)が陽性であったため, CW(-)寒天を用い再検査を行った結果, 31件(51.7%)から血清型TW1, 26件(43.3%)からTW24のエンテロトキシン産生ウエルシュ菌が分離された(4件からは両菌型検出). TW1およびTW24の両菌株に対するカナマイシンのMIC値は, 64~128μg/mlであり, CW(+)寒天上で発育した菌数はCW(-)寒天に比較して1/10 3~1/10 4であった.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.25.76