びまん性多発結節影を呈した肺類上皮血管内皮腫の1例

背景.肺類上皮血管内皮腫は比較的稀な低悪性度腫瘍であり,本疾患に確立した治療法は存在せず,緩徐進行例は無治療経過観察となることが多い.症例.症例は70歳男性.胸部外傷にて撮影された胸部computed tomography(CT)で,両肺びまん性多発結節影を指摘された.18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography/CT(FDG-PET/CT)では肺野病変を含め全身に異常集積を認めなかったが,半年後に撮影されたCTでは両肺多発結節影のわずかな増大を認めた.原発不明癌の多発肺転移,肉芽腫性疾患や感染性結節を疑い,診断目的に胸腔鏡下肺部分切除...

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Veröffentlicht in:肺癌 2020/12/20, Vol.60(7), pp.979-984
Hauptverfasser: 土田, 浩之, 棚橋, 雅幸, 鈴木, 恵理子, 吉井, 直子, 渡邊, 拓弥, 千馬, 謙亮, 喚田, 祥吾, 井口, 拳輔, 内山, 粹葉
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.肺類上皮血管内皮腫は比較的稀な低悪性度腫瘍であり,本疾患に確立した治療法は存在せず,緩徐進行例は無治療経過観察となることが多い.症例.症例は70歳男性.胸部外傷にて撮影された胸部computed tomography(CT)で,両肺びまん性多発結節影を指摘された.18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography/CT(FDG-PET/CT)では肺野病変を含め全身に異常集積を認めなかったが,半年後に撮影されたCTでは両肺多発結節影のわずかな増大を認めた.原発不明癌の多発肺転移,肉芽腫性疾患や感染性結節を疑い,診断目的に胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病変は弾性硬の黄白色調充実性結節で,周囲への浸潤所見を認めなかった.病理検査で免疫組織学的に第VIII因子関連抗原などが陽性であったため,肺類上皮血管内皮腫の診断となった.本疾患に対する確立した治療法は存在せず,無治療経過観察とした.結論.CT所見においてびまん性多発肺結節影を呈する鑑別疾患として,稀ではあるが本疾患も考慮すべきである.本症例において今後も注意深い経過観察が必要である.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.60.979